染められた林檎 ページ39
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「す、すみませ、」
「赤葦！」
足を止めて振り返ると、Aさんが勢いよく俺に抱きついてきて、慌てて身体を支える。
「Aさん！？」
「赤葦、今までごめん。からかってごめん。意地悪してごめん。可愛くない態度取ったこともあると思う、全部ごめん！」
「ど、どうしたんですか急に」
「赤葦」
顔を真っ赤にして、今にも泣きだしそうな顔をして、彼女が俺を呼ぶ。
「私、赤葦が好き」
俺を見上げる彼女との距離は────
不意打ちを食らった俺は、目を丸めて彼女の潤んだ瞳を見る。
「それは、反則でしょう」
俺はそう呟く。
体を離して、彼女の両肩に手を置く。
「Aさん、俺が昨日行ったこと覚えていますか」
「え？えっと。ゴ、ゴリラが情に厚いって話…？」
「違う」
この人は、本当に人の話を聞かない。
「ぼ、木兎の名前を出したこと…？」
そこまでわかっているくせに。
「だ、だって。昨日は色々ありすぎて、頭が追い付かないっていうかパンクしちゃうっていうか…赤葦が全部悪いんだ！」
「なんで俺のせいにするんスか」
「あ、赤葦は私のこと好きじゃないの！？」
この人には、ちゃんと口に出して言葉にしないと伝わらない。
「…期待、しますよ」
「期待させてるの。気づいてよ、バカ」
唇を尖らせた彼女は、俺の腹部に拳を当てる。
「俺、昨日貴方のこと好きって言ったつもりなんですが」
俺の言葉に、彼女の目から涙が一筋。
「…わかりづらい」
「すみません」
それを指で拭うと、急に赤くなって俯く。
「真っ赤。林檎みたい」
俯いた顔をクイと上げると、唇を噛んで顔を真っ赤にしている。
「私さっき、毒林檎食べたよ」
そうやって少しだけ雰囲気を壊してしまうところも。
「見てましたよ、ちゃんと」
甘ったるい毒に冒されそうだ。
「ねえ赤葦」
そしてこの人は、煽るのが上手すぎる。
「────もう一回、好きって言って」
そう言ってふわり笑う彼女は、真っ赤な林檎。
泣いたり、笑ったり、赤くなったり。本当に忙しない人だ。
「Aさん」
‘好きです’
────俺は、真っ赤な毒林檎に齧り付いた。
【完】
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凛々 - 赤葦と夢主の掛け合いが素敵…。甘さが私に合いすぎです！続きが気になって仕方ないです。 (2019年11月8日 20時) (
レス) id: df09ac0ca3 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 39話以降のタイトルのセンス良すぎでは…。全話タイトルつけてほしいくらいです。。。 (2019年9月23日 18時) (レス) id: c3e4fd17c8 (このIDを非表示/違反報告)
madoka - コメント失礼します。小鈴さんの作品は「これぞ純愛！」って感じがして、穢れが一切ない感じがたまらなく好きです！今回もいい感じのキュンキュンありがとうございます！番外編と続編も楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2019年9月20日 13時) (レス) id: b7f00b86d0 (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - あまーい！！実は木兎さんが主人公に片思いをしていたこともめっちゃ胸キュンでした！！本当に小鈴さんの作品大好きです！！！！！ (2019年9月19日 13時) (レス) id: 1ffe4440e9 (このIDを非表示/違反報告)
すいか(プロフ) - めっちゃキュンってくるのと、赤葦のかっこよさが、いつもより増してまじでよかったです！他の作品も読んでみようと思います (2019年9月18日 20時) (レス) id: 2af2bdbcf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月7日 19時
