独占欲 ページ35
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他の男の名前なんて、聞きたくない。
それが例え、俺の尊敬する木兎さんであっても。
あぁ醜い。自分でもわかるくらいに醜い嫉妬。
俺って、こんなに小さい男だったんだ。
…余裕、ない。
ほら、Aさんがびっくりして少し引いてる。
「すみません」
俺が離した腕を、Aさんが逆の手で押さえる。
頬を赤らめるでも、怖がるわけでも、泣くわけでもない彼女は、どこか遠くを見据えていて。
それから帰路についた俺たちが、口を開くことはなかった。
＊
学校祭二日目。最終日。
昨日はあまり眠れなかった。
感情的になりすぎた自分に、激しく後悔した。
よく、冷静だとか無表情だとか、そう言われることが多いけど、昨日のアレはそんな言葉とは随分かけ離れていた。
違う。俺が、冷静じゃいられなくなるのは、あの人の前だけだ。
「なぁ聞いた？三年一組の」
「あぁ聞いた聞いた。美人の先輩が売り子やってんだって！」
「行こうぜ行こうぜ！」
一緒に回ろうという誘いを上手くかわしながら、俺は屋台の並ぶ校舎前へと向かった。
案の定、三年一組の屋台前には長蛇の列。Aさんを一目見ようと集まった人たち。
忙しいのに笑顔で売り子をするAさんの姿を見つけた。
「お、赤葦じゃん。なに？俺らのクラスの売上に貢献しに来てくれたの？」
ハッピにハチマキで客引きをしていたらしい木兎さんが、後ろにお客さんを連れて笑っている。
「どーだ赤葦！これが俺の人望だ！」
大袈裟に笑う木兎さんに、お客さんたちは苦笑い。
「よーし赤葦。ここは俺の権限で優先的に案内してやろう！」
‘権限’を強調して、ほらこっちこっち！と俺の背中を押す木兎さん。
俺に気づいたAさんが、「あ、赤葦〜！」と手を振っている。
クレープを片手にこっちに来たAさんが昨日のことを気にしている様子はなく、俺は安堵する。
「はいどうぞ〜。特別にバナナ増量！」
お礼を言って受け取り、辺りを見回す。
他の屋台に比べて異常なまでの行列。
「繁盛してますね」
「木兎が張り切っちゃって大忙し」
と得意の大声で客引きをする木兎さんを見る。
「ちょっと売り手のキャパも考えてほしいわ」
腕を組んで小さく笑う。
「Aさん」
「ん？」
「交代、どれくらいですか？」
「うーん、この調子だと、どうだろう」
いまだ健在の長蛇の列は、減ることを知らない。
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凛々 - 赤葦と夢主の掛け合いが素敵…。甘さが私に合いすぎです！続きが気になって仕方ないです。 (2019年11月8日 20時) (
レス) id: df09ac0ca3 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 39話以降のタイトルのセンス良すぎでは…。全話タイトルつけてほしいくらいです。。。 (2019年9月23日 18時) (レス) id: c3e4fd17c8 (このIDを非表示/違反報告)
madoka - コメント失礼します。小鈴さんの作品は「これぞ純愛！」って感じがして、穢れが一切ない感じがたまらなく好きです！今回もいい感じのキュンキュンありがとうございます！番外編と続編も楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2019年9月20日 13時) (レス) id: b7f00b86d0 (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - あまーい！！実は木兎さんが主人公に片思いをしていたこともめっちゃ胸キュンでした！！本当に小鈴さんの作品大好きです！！！！！ (2019年9月19日 13時) (レス) id: 1ffe4440e9 (このIDを非表示/違反報告)
すいか(プロフ) - めっちゃキュンってくるのと、赤葦のかっこよさが、いつもより増してまじでよかったです！他の作品も読んでみようと思います (2019年9月18日 20時) (レス) id: 2af2bdbcf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月7日 19時
