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「何を言っているのだよ」
「あれ、行かねーの?Aちゃんのことが心配で、梨花ちゃんに話聞いたんじゃなかったのかよ〜」
「……心配などしていないのだよ。気になっただけなのだよ」
俺はそう答えるが、高尾のニヤケは止まらない。
「ね、梨花ちゃん。今日、梨花ちゃん家(ち)行っていい?」
高尾は構わずに梨花に尋ねる。
「うん、全然大丈夫だよー!お姉ちゃん、熱あるのに学校来ようとしてたから、顔見せたら喜ぶかも!」
笑顔でそう答える梨花。
「やったぜ、梨花ちゃんから許可もらったから行けるじゃん。真ちゃんはどーする?」
「ただいまー!」
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔します……」
(来てしまったのだよ……)
高尾の口車にうまく乗せられ、つい着いてきてしまった。
秀徳から徒歩15分の橋本の住まいは、一軒家だった。外も中も、隅から隅までしっかりと掃除されており、とても綺麗だった。
「ここがお姉ちゃんの部屋!お姉ちゃん、入るよー」
階段を登ってすぐの部屋に案内される。梨花はノックもせずに、部屋のドアを開けた。
「梨花……?」
眠そうな橋本の声が聞こえてくる。
「お邪魔しまーす!」
「……お邪魔するのだよ」
ズンズンと部屋に入っていく梨花に続き、高尾も部屋に入り込む。俺もそれに続き、足を踏み入れた。
入ると、すぐに橋本と目が合う。
「え、緑間くん、高尾くん?なんで……っ!」
俺たちを見て困惑する橋本だが、今の自分の姿・状態に気づいたのか、すぐに布団へ潜ってしまった。
「お見舞いにきたぜ〜。パジャマ姿のAちゃん、かっわい〜」
「うるさい、高尾くん」
「俺、Aちゃんが赤面してるとこ、初めて見たかも」
「高尾くん……出てって。なんで勝手に連れてきたの、梨花」
「お姉ちゃん、学校にすごく来たがってたから、会ったら喜ぶかなーって」
「テストがあるからに決まってるでしょ」
橋本を揶揄う高尾と梨花。布団をかぶった橋本にはバレていないだろうが、悪意のある表情をしている。
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年5月10日 16時