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これ以上言っても無駄だと察し、無理やり横切って行くことにした。すると、彼を押しのけようと出した右手を掴まれる。
「っ！」
びっくりして、緑間くんの顔を見上げる。
「……女が1人で夜道を歩くなど、危ないのだよ」
彼は私を真っ直ぐに見つめてそう言う。なんなんだ、急に。
「別に大丈夫でしょ。そんなに遠くないし」
「遠い近いの問題ではないのだよ。大体その格好は何なのだよ」
「何って、普通じゃん」
タンクトップに短パン。たしかにちょっとパンツは短いけど、そんなに際どくはないと思う。
「露出が多いのだよ。もう少し危機感を持て」
「はあ？」
マジで意味がわからない……。何がしたいんだ、この男は。
(ていうか明日も朝早いからさっさと買い物済ませて寝たいんだけど……)
と私は考えており、緑間くんの言うことを聞き流していた。
(もういいや……)
私は緑間くんの手を無理やり振り払う。
「っ！」
反撃されると思っていなかったのか、手はすぐに離れ、緑間くんは怯んだ。
「明日のご飯の買い出しに行くだけだから。じゃ」
私はそう吐き捨て、宿を出発した。
「……」
「……」
歩き出してから数十メートル。私をつけている者がいることに気付く。
私が足を進めるたびに、足音が聞こえ、また、私が足を止めるたびに、その足音も止む。普通なら、「ストーカーされてる……？」と怯えるのだろうが、私は逆にイライラしていた。何故だって？
その足音の正体を知っているからだ。
「はぁ〜っ……」
私は痺れを切らし、後ろを振り返る。
「なんで着いてくんのよ、緑間くん」
「着いていってなどないのだよ。ラッキーアイテムのペットボトルをそこのコンビニまで買いに行こうとしているだけなのだよ」
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作者名：ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時：2022年5月10日 16時
