副業は武装探偵社員、本業は死神。 (ページ25)

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”死神” ページ25

「死、神…。」

国木田さんは私の言ったことをまだ理解できていないようで小さく復唱していた。

「そう、死神です。」

「生きている間に死神に会えるとはね。」

太宰さんはそう言って苦笑した。

「私はもうとっくに死んでいます。

…だからほら、先程の怪我だってこの通り。」

怪我をした横腹を軽く叩いてみせ、私は笑った。

「死神なんで、怪我は治ります。」

与謝野先生の治療なんて本当は受けなくても良かったんだ。

「天沢さんはどのぐらい生きているんですか？」

「中島さん、その表現は間違っていますよ。

私達は死んでいます。

…そうですね、軽く100年以上は。
私、織田信長さんや豊臣秀吉さん達の魂を回収したんでそれより前には死にました。」

カミングアウトとなってしまったが本当だ。

皆が学習した戦国武将とは何回か会っている。
とても、個性的な方々だったよ。

「死神とはどのような人ですか…？」
谷崎さんが恐る恐る尋ねる。

「…どのような人だと思いますか？」

質問を質問で返すなんて非常識だろうか。
でも、死神なんてならない方が良い。

「…死神は人間だった頃辛い経験をして、輪廻の輪に戻ることを止めた人達の集いだよ。」

京治はそう言った。

その場に思い空気が流れる。

「…人間だった頃なんて忘れたから気にしないで。」

嘘、忘れてなんかいない。

忘れないよ。

「ん…」

可愛らしい声がかすかに聞こえる。

私はしゃがんで彼女を見た。

「おはよう、稲瀬。」