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阿部「……変だよ、照」
呆れたような、しかしどこか心配したような阿部の声がする。
生前の事が原因で人間嫌いになった阿部の話は、いつも聞いていた。
いつも肯定して聞いていた、「そうだな」「人間は酷いな」と。
それが今こんなに必死に人間を庇っているのだから、疑念を口に出すのも仕方がない。
岩本「…俺も、わかんねぇよ」
阿部「やっぱり、毒されてるんじゃないの」
岩本「確かに、人間は酷いよ」
協調性を何よりも大事にして、少しでも「みんな」と違うところを見つけたら寄って集って排斥しようとして、「忌み子」だなんだと囃し立て、挙句には「贄」なんて言って平気で手にかけて正当化するのだから。
岩本「…何十年経っても、やる事は変わんねぇし」
阿部「怖いだけじゃんか」
岩本「でも、ふっかは違うんだよ」
拒絶されている理由なんて皆目見当もつかないが、それでもその理由が「妖だから」でない事は確信的にわかった。
それに、ラウールが岩本の事を優しいよ、大丈夫だよと言って返ってくる言葉は「知ってる」だという。
岩本「…もしかして、昔出会ってたりすんのかなぁ」
阿部「は？」
岩本「俺が覚えてないだけで、あいつが子供の時とかに会ってたりすんのかな」
阿部「だったら、拒絶しないんじゃないの」
岩本「覚えてくれていないのが嫌だったり、すんのかなって」
森で迷子になっている子供を助けた事は多少なりとある。
それでも大体、佐久間と向井が宥めて励まして、自分は変な瘴気とかからその子供を守る、とかそういう役目だったから、自分の事を覚えている子供なんて少ないだろうが。まず怖がられていたし。
阿部「…仮にそうだとしたら」
岩本「あ？」
阿部「何で照はその覚えてもいない子に執着してる訳」
岩本「…」
何も言えなかった。
「…俺も分かんねぇよ」と小さく零す事しか、彼には出来なかった。
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賭果(プロフ) - 初めまして、検索で見掛けてこの話のみ途中まで読んでいるのですが、ふっかさんがまさか…と思いました。その他のシリーズもぜひ、読んでいこうと思います (2020年6月14日 21時) (
レス) id: e86ba3e61e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - はじめまして。伍話の話がゆり組ー(≧∇≦)て感じがしてとても好きです。笑 これからも更新を楽しみにしています。 (2020年6月6日 20時) (レス) id: 2effd210bf (このIDを非表示/違反報告)
パスタ好きのさらさん(プロフ) - 新作おめでとうございます！全部面白くて読ませて頂いてます。今作は自担であるめめが最初の主人公っぽかったのでとても嬉しいです。これからも応援してます！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: b898e8ff1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年6月1日 17時
