陸:一粒甘味ト幸福理論 ページ28
ここに来てから、ほとんど毎日のように向井が甘味を届けてくれる。
それは金平糖だったり、苺の大福だったり、1度だけみたらし団子を届けてくれた事もあった。
向井「ふっかさーん！甘味お届け便やでー！」
その日も向井は小さな包み紙と目黒を連れて深澤のいる部屋へやってきた。
深澤「…毎日よく集めてくるね」
向井「今日は饅頭やで！」
手渡された包み紙を開けると、ふわふわした生地の饅頭が顔を出す。
一口食べると、中身の粒餡が出てきた。
向井「…ふっかさん、もしかして漉し餡派？」
深澤「でも、粒餡も好きだよ」
向井「あわー！漉し餡派やったか！また伝えとく！」
深澤「…伝えとく？」
暫しの間の後に、向井は気付いた様に「あっ」と声を漏らす。
目黒「…言ってないの？」
向井「だ、だって」
深澤「これ、いつも康二が買ってきてくれてるんじゃないの…？」
慌てたよ様子の向井は誤魔化しの言葉も思いつかないらしく、「うあぁぁん！ふっかさんごめん！」と凄い勢いで地面に伏せた。
深澤「え、あ、せ、責めてる訳じゃ、ないから…ね？顔上げて」
項垂れた耳諸共頭を優しく起こしてやると、向井は既に目に涙を溜めている。
深澤「ちょ、泣かないで康二…」
向井「うわぁぁんふっかさんごめんんんん」
目黒が向井が泣いている様を見るのはこれで何回目だ。
まだここに来て日も浅いというのに、泣き虫な彼がこうやってなく姿はもう何度も見た気がする。
当惑したような深澤の視線がこちらに向けられた。
助けを求められているのだろうか、自分にはどうする事も出来ないと首を横に振る。
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賭果(プロフ) - 初めまして、検索で見掛けてこの話のみ途中まで読んでいるのですが、ふっかさんがまさか…と思いました。その他のシリーズもぜひ、読んでいこうと思います (2020年6月14日 21時) (
レス) id: e86ba3e61e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - はじめまして。伍話の話がゆり組ー(≧∇≦)て感じがしてとても好きです。笑 これからも更新を楽しみにしています。 (2020年6月6日 20時) (レス) id: 2effd210bf (このIDを非表示/違反報告)
パスタ好きのさらさん(プロフ) - 新作おめでとうございます！全部面白くて読ませて頂いてます。今作は自担であるめめが最初の主人公っぽかったのでとても嬉しいです。これからも応援してます！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: b898e8ff1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年6月1日 17時
