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バタバタと駆けていく2人を見送って、岩本は考え事に耽る。
自分には宮舘と渡辺のような、特に親しい相手がいない。
それは生前から、とかではなく、今の阿部と佐久間、向井と目黒のような、妖になってから知り合った親しい相手でも、という意味である。
深澤が海岸に打ち上げられていたのを見かけた時、どこか妙な親近感を覚えたのだ。
もしかしたら仲良くなれるかもしれない、と思って、その原因は分からないけれど、どうも酷く弱った様子の彼を抱き抱えて連れて帰って。
ただそれは自分の思い違いだったらしく、深澤は自分を拒絶しているようだった。
拾ってしまったのは、間違いだったのだろうか。
でもあのまま放置しておくのも自分には憚られた。
…いつか、心を開いてくれる時を待つしか。でも、それっていつだ？
岩本｢…｣
こうやって向井や、時たま佐久間にも、お使いと称して甘味を届けてもらうのも、結局は自分が臆病なだけなのかもしれない。
心を開いてくれる時を｢待つ｣という手段を取ってしまう自分の、所為なのかもしれない。
けれど、あの時怯えた様に、泣きそうな顔をした紫煙を象ったような瞳が妙に目に焼き付いてしまって。
自分が現れる事でまたあの瞳にさせてしまうのだと言うならば、自分が身を隠すだけであの顔をさせずに済むというのなら、それでいい──いい、はずだ。
岩本｢…らしくねぇ｣
ウジウジと悩む自分に喝を入れるように言葉を吐く。
気を紛らわせるように、廊下を歩く。
歩が自然と彼の部屋から離れようとしているのに気付き、更に弱虫な自分に自嘲的な笑みを零した。
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賭果(プロフ) - 初めまして、検索で見掛けてこの話のみ途中まで読んでいるのですが、ふっかさんがまさか…と思いました。その他のシリーズもぜひ、読んでいこうと思います (2020年6月14日 21時) (
レス) id: e86ba3e61e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - はじめまして。伍話の話がゆり組ー(≧∇≦)て感じがしてとても好きです。笑 これからも更新を楽しみにしています。 (2020年6月6日 20時) (レス) id: 2effd210bf (このIDを非表示/違反報告)
パスタ好きのさらさん(プロフ) - 新作おめでとうございます！全部面白くて読ませて頂いてます。今作は自担であるめめが最初の主人公っぽかったのでとても嬉しいです。これからも応援してます！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: b898e8ff1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年6月1日 17時
