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壱:忌ミ子人ノ子妖ノ子 ページ7

良い匂いがして目が覚めた。
岩本「あぁ、起こしちまったか」
どうやら晩御飯を持ってきたらしい岩本が、目を開けた目黒の顔を覗き込む。
岩本「ちっとは楽になったか」
目黒「…はい、」
岩本「そうか。じゃあまあ、食え。舘さんの飯は絶品だぞ」
目黒「え、でも…」
岩本「遠慮すんな。食べた方が舘さんも喜ぶからよ」

そうは言われても何だか申し訳ないな、と思っていると、腹の虫が鳴る音がした。
目黒「…」
岩本「ははは!体は正直だなぁ、ほら、冷めねぇ内に食っちまえ」
目黒「…いただきます」
流石にこれ以上抵抗するのが恥ずかしくなってしまい、ありがたく頂戴する事にした。
誰かの手作りのご飯を食べるなんて、数年ぶりだ。

岩本「なぁ、すぐ出ていくつもりなのか?」
目黒「え…だってご迷惑でしょうし」
岩本「行く宛はあんのか?」
目黒「ないですけど…」
岩本「じゃあここにいればいい。ここは少なからず人里よりかは安全だからよ」
目黒「いや、でも…」
岩本「少なくともここにいる奴等は、誰も忌み子だの何だの言わねぇよ」
目黒「…」

岩本「お前さん、麓の村の者だろ?」
目黒「え、あ、はい…」
岩本「じゃあ尚更ここにいろ。先の雷でお前さんが贄になる前にいなくなった、ってあの村の奴は思ってる。うっかり鉢合わせたら何されるかわかんねぇ」
何だかどんどん逃げ道を塞がれていっているような感覚を覚える。

というより出来すぎた話のようで怖い。
確かに自分はあのよくわからない「生きたいか?」という声に、「生きたい」と答えたが。
こんな上手い話があるのか?
色々足りない頭で考えていると、岩本がフッと笑いを零し、軽い調子で続けた。

*→←白雪神社



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賭果(プロフ) - 初めまして、検索で見掛けてこの話のみ途中まで読んでいるのですが、ふっかさんがまさか…と思いました。その他のシリーズもぜひ、読んでいこうと思います (2020年6月14日 21時) (レス) id: e86ba3e61e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - はじめまして。伍話の話がゆり組ー(≧∇≦)て感じがしてとても好きです。笑 これからも更新を楽しみにしています。 (2020年6月6日 20時) (レス) id: 2effd210bf (このIDを非表示/違反報告)
パスタ好きのさらさん(プロフ) - 新作おめでとうございます!全部面白くて読ませて頂いてます。今作は自担であるめめが最初の主人公っぽかったのでとても嬉しいです。これからも応援してます! (2020年6月2日 22時) (レス) id: b898e8ff1d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:湊都 | 作成日時:2020年6月1日 17時

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