足音 ページ8
「Aは白無垢かドレスどっちがいいんだい?」
人生で初めてお茶を吹き出した。幸いにも誰もいない虚空に吹いたからいいものを、鴎外さんにでもかかったら私が一大事。机にかかってしまったお茶を拭きながら聞く。
「突然どうしたんですか?」
「もうそろそろ決めた方がいいと思ってね。どちらにせよ種類がたくさんあるだろう?」
「そうですけど。公の場ですし、私が決めちゃっていいんでしょうか?」
「花嫁はAだろう?Aが決めて当然だ。」
そう言って彼は私を撫でる。その手は優しくて本当に安心する。ちらっと鴎外さんを見れば楽しそうにしている。本当に私はこの人のお嫁さんになるんだと思うと嬉しくなる。顔に出ていたのか彼の方に引き寄せられ、膝の上に乗せられる。
「...私はどっちでもいいですけど、鴎外さんはどっちが見たいですか?」
「私はどちらも見たいのだけど、如何せん、君の言った通り公の場だからねぇ。両方というのは難しい。」
うりうりと私の肩に頭を押し付けて悩ましそうに言う。ふと、前に見た両親の結婚式の写真が頭をよぎった。
「じゃあ、ドレスがいいです。真っ白なやつ。」
「ドレスならお色直しができるねぇ。何色がいいかな?」
「気が早いですよ。...でも、その白無垢も鴎外さんがよかったら着たいなって...。」
「どういうことだい?」
「その、私の両親は2回結婚式をしたんです。両親は身内だけがよかったらしいんですけど、祖父母が盛大にやりたがったらしくて。だから、そんな風に2回やってもいいかなって...。」
ぎゅうっと私を抱く力が強くなる。鴎外さんが首に顔を埋める。首が少しチクリとして跡が付けられたのが分かる。
「もうー、Aは時々そういうことを言う。」
「嫌だったらいいですよ?お金もかかりますし..。」
「2回目、やろうか。君の呼びたい人だけで。」
そんな言葉が耳元でそっと囁かれる。嬉しい半分、恥ずかしい半分頷けば、するりと服の中に手が入る。
「すぐ、そういう方にいくの良くないと思います。」
「君が直ぐに煽るからいけないのだよ?」
「煽ってませんから...。」
つくづく、私もこの人のことが大好きなんだなって思う。私がエリスちゃんと鴎外さんの着せ替え人形になったのは、また少し後の話。
時間軸とかガン無視でイチャイチャさせていきたい。リクエストも気軽にどうぞ!
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茶々 - 森さんすごく大人っぽくて、夢主ちゃんとエリスちゃんと優花ちゃんが可愛すぎて…。面白かったです!更新頑張ってください! (2019年12月31日 20時) (レス) id: fc99185244 (このIDを非表示/違反報告)
蝶々(プロフ) - ウミソラさん» こんばんは!同じく期待して待ってる蝶々です!いつもリクエストありがとうございます!! (2019年7月7日 0時) (レス) id: e315375680 (このIDを非表示/違反報告)
蝶々(プロフ) - 零さん» 反応遅くなって申し訳ないです( ´・ω・`)了解致しました!! (2019年7月6日 23時) (レス) id: e315375680 (このIDを非表示/違反報告)
ウミソラ(プロフ) - 蝶々さん» こんばんわ!!文スト終わってしまった(つд;*)・・・と言う訳でリクエストお願いします!!!共喰いでウイルスにかかった森さんにずっと寄り添う話と、娘ちゃんが中也の異能で遊んでもらっている話をお願いします!!!そして続編が放送されるのを期待します!!! (2019年7月1日 15時) (レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 罰ゲームで、メイド服を着せられた、をお願いします!お付き合い中と結婚後を書いて頂けると嬉しいです!お願いします (2019年5月20日 20時) (レス) id: 57759288c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蝶々 | 作成日時:2018年8月10日 16時