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伍拾陸話 ページ9

「其の……可能性の話なのだけど、若し君の異能の謎が解けて、電話の声にしか従わない夜叉を操れるようになれば…探偵社員として力の一つに_____」


「駄目!」


泉の大きな声に、俺と敦は肩を揺らす。


「駄目。夜叉(あれ)は……もう、二度と…」


『落ち着け、泉。判ったから』


「……でも、どうして」


敦が聞こうとした時、携帯から着信音が鳴り出した。


着信音が鳴り止み、携帯から女性の声が流れる。


「夜叉白雪よ。鏡花に近寄り、嘘の世界を教える者に罰を与えよ」


敦の背中から血が舞い、ベンチの前に倒れてしまった。


『敦!』


「害獣の血でも飛沫(しぶ)く様は美しいのう。……そうは思わぬかえ?愛しの鏡花や」


こつり、着物を着た女性が俺達の前に現れる。


「息災じゃったか?(わっち)が、どれほどそなたを案じ胸を痛めたか。此の様な…」


「………う」


女性は敦に近付いたかと思うと、思い切り背中を踏んだ。


「ぐあっ!」


「獣畜生共の下にそなたを残す事になって」


『残酷な…』


「じゃが、私が扶けに来た。もう心配は要らぬぞ」


「何故、貴方が……携帯を」


女性が携帯を閉じると泉の異能は消える。


「簡単じゃ、この小童が云う業者とやらを刺して吐かせただけの事。もう何も思い煩う事は無い。私が守ってやろうぞ」


敦が女性に踏み潰されながらも必死に立ち上がろうとしていた。


「彼女はもう……マフィアには戻らない!彼女の力は探偵社の仕事で振るわれるものだ!」


そう云うと、女性の頬に一筋の涙が伝う。


『なんで…あんたが泣くんだ』


「矢張り、鴎外殿の許可など待たず迎えに来るべきであった。此の様な欺瞞と偽善の巣に、そなたを一秒も置いてはおけぬ」


女性は敦から足を退け、泉に近付くと彼女を優しく抱き締めた。


「可哀想な鏡花や。甘言に唆され、其処が光の世界と勘違いしたのであろう。……じゃが、奴等は孰れ云うぞ。夜叉白雪を使えと」


「!」


「じゃが案ずるでない。異能目当ての屑共など、私が微塵に切り裂いてくれる」


「_____ッ!マフィアが、其れを云うか…!」


敦は立ち上がり、女性に攻撃を仕掛ける。


だが其れは叶わず、敦の服が切れ其の隙間から血飛沫が舞った。


「遅いのう」


そう云った女性の後ろに、ゆらりと夜叉が現れる。


其の儘敦は壁まで吹き飛ばされた。


「がはっ…」


夜叉が、敦の心臓部分に刀を刺す。


『なっ!』

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ぴみゃ - ドストさん絡みの男主のお話で一番好きです。頑張ってください、応援してます! (2018年5月24日 21時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 黒翔さん» 調べてみたらそうでした…。ご指摘有難う御座います (2018年4月7日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
黒翔(プロフ) - どうでもいいし細かいんですけどフョードルの愛称みたいなものってフェージャじゃないんですか?() (2018年4月7日 20時) (レス) id: 8b992b69e6 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - ドストさん癒し!!更新待ってます! (2018年4月1日 23時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 零さん» 癒しになって良かったです…。有難う御座います! (2018年1月12日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年10月15日 22時

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