伍拾伍話 ページ8
和服の裾を捲る泉を冷や汗を流して敦は見ていた。
すると、ビルの中に判事の姿を見付ける。
「判事!」
泉は呼び止めようとするが、判事は
「……探偵社員は諦めない」
泉と共に、俺達はビルの裏口にいる。
ドアノブにピッキング道具を差し込んでいる泉。
「だ……大丈夫かな」
「此れでも元暗殺者、潜入の
「確かに、時間も無いし他に方法は無さそうだけど…」
「任務に失敗すれば、マフィアでは生きていけなかった。此の位の施設、何でもない」
『大丈夫か、其れ…』
がちゃん、と音がしてピッキングに成功した事が判った。
「大丈夫、必ず仕留める」
ビルの中に泉は入ってしまう。
「_____ん?」
『おい、なんか物騒な言葉聞こえなかったか?』
待機する俺達は泉の言葉に疑問を持つしかなかった。
「Aは着いていくのかと思ってた」
敦は俺を見てそう云う。
『真逆。此れは泉の初仕事なんだから邪魔しちゃ駄目だろ?大丈夫、何かあった時は癪だけど……彼奴がいるから』
「彼奴?Aって本当に隠し事が多いと云うか…」
『お前に隠し事した覚えはねンだけどな』
「色々されてる気がするけど。教えてくれるまで僕は待つよ」
『………教えたら、きっとお前は絶望するよ』
ぼそりと呟いた所で、暗い顔をした泉がビルから出てきた。
『泉…?どうした』
「説明、すると…」
説明して貰う為に場所を移して、藤棚の下にあるベンチに皆で座る。
「はい」
敦は泉の目の前に、クレープを差し出した。
彼女はクレープを手に取り、口に含む。
「大変だったね。判事には、社長が話を付けてくれたよ。御友人なんだってさ。にしても、吃驚したよ。鏡花ちゃん、実は暗殺者の才能が………。あ………御免」
敦は黙ってしまった。
「停電する処までは良かったのに…」
「何か、新しい特技を覚えれば善いさ。例えば…」
「色仕掛け?」
「其れはもう忘れなさい」
首を傾げた泉に、敦はきっぱりと云い放つ。
「…其の電話、未だ捨てていなかったんだね」
敦は泉の首に下げてある携帯を見て云った。
彼女は其の携帯を握り締める。
『業者に
「うん、だからマフィアから掛かってくる事はないけど……余り善い思い出はないんじゃ?」
「大事な、ものだから」
とても悲しそうに云った。
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ぴみゃ - ドストさん絡みの男主のお話で一番好きです。頑張ってください、応援してます! (2018年5月24日 21時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 黒翔さん» 調べてみたらそうでした…。ご指摘有難う御座います (2018年4月7日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
黒翔(プロフ) - どうでもいいし細かいんですけどフョードルの愛称みたいなものってフェージャじゃないんですか?() (2018年4月7日 20時) (レス) id: 8b992b69e6 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - ドストさん癒し!!更新待ってます! (2018年4月1日 23時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 零さん» 癒しになって良かったです…。有難う御座います! (2018年1月12日 20時) (レス) id: 5d298c47da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:曉 | 作成日時:2017年10月15日 22時