【文スト】死の家の悪魔【男主】弐

陸拾参話 ページ23

太宰に教えてもらったようにすると、屋上に繋がる扉が見えた。


其の扉を開けて、フェンスに近寄る。


『ったく……仕事中に電話してくんなよ』


「其の仕事中に寝るのは如何かと思いますけど」


『其の言い訳をする代わりに現状報告してやるよ』


太宰を食った後、組合に襲撃された事。


組合に襲撃された皆を探偵社に送った事。


『其れで疲れて寝てたンだよ』


「そんな事があったんですね。其れは悪い事をしました」


『絶対思ってねぇだろ。携帯取られた所為で咄嗟に殺気出したし…』


「おや、なら尚更大変ですね。そろそろ"浅間"の名前が崩れてしまうのでは？」


『お前楽しんでるだろ』


「だって貴方が僕の処へ戻るんですよ？そう考えると楽しみで眠れません」


『はは、頭イカれてんじゃねぇの』


くつくつ笑っていると、ビルから出る福沢さんの姿を見つけた。


『でも頼むから寝てくれよ？お前、いつ倒れるか判ったもんじゃねぇから』


「判ってますよ」


『つーか、電話して来たのはなんだよ。用がなきゃ電話してくんな』


「僕達、盗賊団ですよね」


『何を今更』


「盗賊っぽい事何もしてないですから」


『あ、そう。計画が練上がってから電話してくれね？今、お前から貰った仕事で忙しい』


屋上から身を乗り出し、飛び降りる。


「そうでしたね。また電話します。今度は夜に」


『りょーかい』


地面に着地して、携帯をポケットに閉まった。


其れから早足で福沢さんの後を追う。


『きっと怖かったろうなぁ、敦。あとで謝っとかねぇと』


謝っても許されないとは思うけどな。


『フェーヂャの云った通り、"浅間"が崩れそうだ』


小さく溜息をついて福沢さんと同じく狭い道に入る。


『ま、早く帰れりゃ其れでいいか』


くつりと笑って、彼を見ると携帯を耳にあてた。


「進渉は如何だ」


聞こえてくる声を拾えるように、耳を澄ます。


「調査員は全員社屋を発ち、旧晩香堂に参集せよ」


『晩香堂…？』


「あの講堂は、極限られた人間しか知らぬ。拠点を秘匿せねば、数で勝る敵に押し潰される」


福沢さんは本気で戦争の覚悟が出来てるんだな。


「御訪客の様だ。二人_____否、三人か」


周りに作業服を身に包んだ男達が彼を囲んだ。


懐から短刀を取り出すと、男達は福沢さんに走って行く。


_____数分すると、男達は倒れていた。


『流石元政府最強の暗殺剣士、"孤剣士・銀狼"なだけあるな。腕が鈍っちゃいねぇ』

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