35話 ページ36
「おっと…危ないですよ?」
「あ、すいません」
有馬特等から借りていたカフカの短編集を返しに行く途中、背の高い男にぶつかってしまった。
「ちゃんと前を見ないとダメですよ?」
落とした本を拾って、渡してくれた。
「ありがとうございます」
「…カフカ?有馬特等も好きなやつですよね」
「有馬特等から借りたんです」
旧多二福一等。話題のキジマ准特等の班に所属する捜査官だ。顔を知っている程度で、話したことはなかった。
「吾妻上等は本をよく読まれるのですか?」
「いや。あまり読まないから、有馬特等に読め、って」
「なるほど」
少し考えるそぶりをして、旧多一等はパッと顔を輝かせた。
「ここでぶつかったのも何かの縁ですよ!今度、書店併設のカフェにでも行きませんか?吾妻上等とならきっと楽しいだろうなぁ」
「いや、あの…」
1人で勝手に盛り上がる旧多一等は、私の言葉など耳にも入っていないらしい。
「旧多くん、ここにいたんですか」
「キジマさん!聞いてください、吾妻上等が…」
「おやおや、吾妻上等。旧多くんがご迷惑を」
「ははは…」
キジマ准特等はその顔を笑みに歪める。
見れば見る程、つくづく特徴のありすぎる顔だと思った。
「ではまた今度」
「はい」
「また連絡しますね!」
さっさと行け、と心の中で呟いてその背中を見送った。
「…知り合いなのか」
「ひっ…」
首筋にいきなり息がかかって、鳥肌が立った。
「有馬特等、驚かさないでください!」
「すまない。そういうつもりはなかったのだが」
本を渡すと、有馬特等はじっと視線を合わせてきた。
「あの、何か」
「少し話せるか」
「わかりました」
有馬特等は変わらず真顔のまま、先を歩いていく。
「あの2人って似てるよね」
「分かる〜」
休憩に出ていた受付係の女子社員に、そんなことを言われているのには気がつくよしもなかった。
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だいすけ(プロフ) - 冬りんごさん» 放置中、読んで頂いて本当に嬉しいです… (2018年11月6日 18時) (レス) id: 5d2de3d17d (このIDを非表示/違反報告)
だいすけ(プロフ) - 冬りんごさん» コメントありがとうございます!ほんとですか!?ちょっと見てきますね… (2018年11月6日 18時) (レス) id: 5d2de3d17d (このIDを非表示/違反報告)
冬りんご - 面白くて鈴屋くんがめっちゃ可愛い(#´ `#)応援してます!!だけど、確か葉っぱ○国っていうサイトにだいすけさんの名前書かれてましたよ、書かれてて大丈夫なんですか…? (2018年11月4日 15時) (レス) id: 909a291f12 (このIDを非表示/違反報告)
だいすけ(プロフ) - 向葵さん» ありがとうございます!もっと頑張らなきゃですね! (2018年8月3日 11時) (レス) id: 9036e20e71 (このIDを非表示/違反報告)
向葵 - 面白いです! (2018年8月3日 8時) (レス) id: 38ef399b5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だいすけ | 作成日時:2018年5月23日 1時