33話 ページ34
___A、目を覚まして?私をちゃんと見てよ。私はここにいるよ?ほら…
___目をそらしちゃダメ。私はあなたなんだから。
「…黙って!」
頭の中で響いていた声に、まるで身体中を蝕まれるような感覚があって、飛び起きた。
「何だっていうの?」
首筋と手にじっとりと汗をかいていた。
体調が悪いわけではないのだが、心音がやたらとうるさかった。
「A、怖い夢見たです?」
「わっ、班長!」
班長は、ソファのすぐ横に体育座りをしてこっちを見ていた。
それに気が付かなかった私は、驚いて思いっきり飛び上がってしまった。
「うなされてたですよ〜」
「あんまりいい夢では無かったですかね」
班長は急に両腕を広げた。
「えっと…?」
「Aをぎゅーってしてあげるんです〜」
腕を広げたまま、私を待つ班長。
私は恐る恐るその腕の中に収まった。
「Aが僕にこうしてくれたとき、心が暖かくなったです」
華奢な腕が優しく私の背中を摩ってくれる。
「だから、Aが辛かったり、悲しかったりしたら僕が暖かくしてあげたいんです〜」
「…ありがとうございます」
班長の鼓動の音が、私の鼓膜を揺らす。
班長の暖かい体温に、不思議と涙がこぼれた。
「泣かないで?僕も悲しくなるです」
「うっ…ひぐっ…ごめんなさい」
なかなか涙は止まってくれなくて、何度も何度も拭った。
「Aはずっと僕が守るですよ〜」
「なんですか、いきなり」
班長はふふっと笑って、なんでもないと誤魔化した。
「いつでも僕の胸を貸すです〜」
「借りますよ」
その後班長は、なかなか離してくれなかった。
でも、私はその班長の鬱陶しさがちょっぴり嬉しかった。
62人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
だいすけ(プロフ) - 冬りんごさん» 放置中、読んで頂いて本当に嬉しいです… (2018年11月6日 18時) (レス) id: 5d2de3d17d (このIDを非表示/違反報告)
だいすけ(プロフ) - 冬りんごさん» コメントありがとうございます!ほんとですか!?ちょっと見てきますね… (2018年11月6日 18時) (レス) id: 5d2de3d17d (このIDを非表示/違反報告)
冬りんご - 面白くて鈴屋くんがめっちゃ可愛い(#´ `#)応援してます!!だけど、確か葉っぱ○国っていうサイトにだいすけさんの名前書かれてましたよ、書かれてて大丈夫なんですか…? (2018年11月4日 15時) (レス) id: 909a291f12 (このIDを非表示/違反報告)
だいすけ(プロフ) - 向葵さん» ありがとうございます!もっと頑張らなきゃですね! (2018年8月3日 11時) (レス) id: 9036e20e71 (このIDを非表示/違反報告)
向葵 - 面白いです! (2018年8月3日 8時) (レス) id: 38ef399b5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:だいすけ | 作成日時:2018年5月23日 1時