29話 ページ30
「共喰い?」
「ああ。オークション会場から逃走していたアオギリの樹の喰種たちが襲撃されたんだ」
オークション掃討作戦の功労者に褒賞を与える為の式典に参加すべく、廊下を歩いていた私は真戸暁上等に会った。
「喰種の中には共喰いをすると血が濃くなるという話を信じて、自ら進んで人間ではなく仲間の喰種を食べるもの達がいる」
「なるほど。喰種達も大変ですね」
皮肉交じりの私の発言に真戸上等は、苦笑を浮かべた。
「吾妻二等、今回は格別の働きだった」
「ありがとうございます」
褒められたからくすぐったくて気恥ずかしく、そわそわする。
「亜門上等…叔父さんもきっと誇りに思うだろう」
「…そうだといいです」
叔父さんの部下であった真戸上等は、私が入局した頃から色々と気にかけてくれている。
真戸上等も父親を亡くすという私と似た境遇の持ち主だからだろう。
「吾妻二等!」
「?」
声の主は不知三等だった。私や真戸上等と同じように正装に身を包んでいる。
「何か用?」
「いや、用ってわけじゃねぇんだけど…」
「吾妻、仲良くやるんだぞ」
「え」
真戸上等はひらひらと手を振って、先に行ってしまった。
「一緒に行ってもいいか?」
「…別に」
頭の後ろで手を組みながら、私の横に並んだ。
「作戦、お疲れ。ウリ公助けたんだって?」
「助けたわけじゃないよ」
「まぁ、でもありがとよ」
お世話になりました、なんて無邪気に笑った。
「A、ここにいたんですか〜!」
「班長?」
廊下の角からひょこっと顔を出していた班長は、私を見つけると駆け寄ってきた。
「不知っす。よろしくお願いします」
「君とは仲良くしません」
不知三等が差し出した手に向かって、班長は舌を出した。
「あちゃ…」
「不知三等、気にしなくていいよ」
「Aは鈴屋班の班員なんです〜 いくですよ」
何に怒っているのか、班長はいつもより強い力で私の腕を引いた。
不知三等にごめん、と口パクで伝えて、そのまま班長に引かれていった。
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だいすけ(プロフ) - 冬りんごさん» 放置中、読んで頂いて本当に嬉しいです… (2018年11月6日 18時) (レス) id: 5d2de3d17d (このIDを非表示/違反報告)
だいすけ(プロフ) - 冬りんごさん» コメントありがとうございます!ほんとですか!?ちょっと見てきますね… (2018年11月6日 18時) (レス) id: 5d2de3d17d (このIDを非表示/違反報告)
冬りんご - 面白くて鈴屋くんがめっちゃ可愛い(#´ `#)応援してます!!だけど、確か葉っぱ○国っていうサイトにだいすけさんの名前書かれてましたよ、書かれてて大丈夫なんですか…? (2018年11月4日 15時) (レス) id: 909a291f12 (このIDを非表示/違反報告)
だいすけ(プロフ) - 向葵さん» ありがとうございます!もっと頑張らなきゃですね! (2018年8月3日 11時) (レス) id: 9036e20e71 (このIDを非表示/違反報告)
向葵 - 面白いです! (2018年8月3日 8時) (レス) id: 38ef399b5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だいすけ | 作成日時:2018年5月23日 1時