27話 ページ28
「どけぇ!三下どもぉ!」
壁を伝って逃げるビッグマダムは、その前に立ちふさがっていた環二等達を赫子で突破していく。
「護衛は何してるのよぉ!」
ビッグマダムの横を並走する鈴屋班長を追いながら、指示を待つ。
「什造ちゃん…玲ちゃん…!ママに楯突くの!?」
班長が通常作戦のハンドサインを出したので、
班員はそれに従う。
「育ててやったのに!ママを恨んでるの?!そうなの?!」
班員の2人に続いて、その背中に斬りかかる。
半井一等がクインケを振るった先で、半兵衛二等が待っていた。
「切断失礼!」
ビッグマダムの赫子がクインケによって切り落とされる。
息も絶え絶えのビッグマダムめがけて、班長が跳躍した。
「じゅうぞぅォォオォオォォォ!!!」
班長はビッグマダムを追い詰めたが、とどめを刺さなかった。
ビッグマダムは、鈴屋班長の気迫に押されて、後ずさりする。
「ヒッ…ヒィィィ!どんな償いもする…だから、殺さないで…」
怯えながら半ば震えているビッグマダムに、班長は優しい声音で話す。
「__ママ…傷だけがあなたからもらったものでした」
班長は右腕をさすりながら、なおも続ける。
「傷だけが懐かしい……周りの誰がなんと言おうと僕は、あなたをうらんだことなんてない。これは…仕事です」
そう語る班長の声に寂しさを感じて、こちらまで切なくなる。他の班員も、班長を見ている。
「…ッ…クソガキがっ!!教えてやる私がお前を飼ってたのはたまたま造形が良かったからだボケが」
ビッグマダムは最後の抵抗とばかりに、班長を罵る言葉を吐き出す。
「勘違いすんじゃねぇぞ、お前なんか1度も愛して__」
その言葉を合図に、私たちはビッグマダムにとどめを刺した。
「お耳を失礼」
半兵衛二等が班長の耳を塞いでいた。
ビッグマダムの最後の言葉を、班長は聞いただろうか。
「サヨナラ、おとうさん」
班長は優しく目を閉じた。
ビッグマダムは彼にとってどんな形であれ、大切な存在だったのだろう。
班長の悲しい気持ちが私の胸にも、流れ込んできた。
私は通じるようになったインカムで、本部に報告をすませた。
「みんな、ありがとうです」
班長の切なげな笑顔は、私の胸からいつまでたっても離れてくれなかった。
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だいすけ(プロフ) - 冬りんごさん» 放置中、読んで頂いて本当に嬉しいです… (2018年11月6日 18時) (レス) id: 5d2de3d17d (このIDを非表示/違反報告)
だいすけ(プロフ) - 冬りんごさん» コメントありがとうございます!ほんとですか!?ちょっと見てきますね… (2018年11月6日 18時) (レス) id: 5d2de3d17d (このIDを非表示/違反報告)
冬りんご - 面白くて鈴屋くんがめっちゃ可愛い(#´ `#)応援してます!!だけど、確か葉っぱ○国っていうサイトにだいすけさんの名前書かれてましたよ、書かれてて大丈夫なんですか…? (2018年11月4日 15時) (レス) id: 909a291f12 (このIDを非表示/違反報告)
だいすけ(プロフ) - 向葵さん» ありがとうございます!もっと頑張らなきゃですね! (2018年8月3日 11時) (レス) id: 9036e20e71 (このIDを非表示/違反報告)
向葵 - 面白いです! (2018年8月3日 8時) (レス) id: 38ef399b5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だいすけ | 作成日時:2018年5月23日 1時