第31話 血痕 ページ34
黄「っていうかAっち、すごいッスよねー」
そこらの物を漁っていた黄瀬が、ボソッと呟く
A「...なにがですか?」
黄「あ、聞こえてたんスね。いや、なんか...こんなわけわからない状況に置かれてても、怖がったりしないで黙々と探索してるのがすごいなぁ...って。それに関しては優汰っちも同じなんスけど」
なんか...似たような言葉を、最近誰かに言われたような.....
A「別に慣れているわけじゃないんですけどね。
ただ...ここで怖がったり泣いたりしても、どうにもならないことは分かっているし.....あの時みたいに」
__ズキン
A「ッ...なに...」
黄「あの時...? って、Aっち?大丈夫ッスか!?」
A「あ、いえ...少し頭痛がしただけなんで、大丈夫です。」
...何だったんだろう。一瞬頭に、猛烈な痛みが走った.....
なんとなく、ただの頭痛じゃない.....気がする。何かを...何かを思い出しそうな...
それに__
『あの時』って、なんだ?
私はそんなこと、自分の口から言った覚えはない。
そもそも、いつの事を指しているかもわからない。
...あの時って、一体.......?
黄「ならよかったッス。でも無理はしちゃいけないッスよ〜?」
A「はは、お気遣いありがとうございます」
黄「ところで、さっきから何見てたんスか?」
少し屈み、私が見ている方向をじっと見る
あぁ、黄瀬にはこの血痕のこと、話していなかったか
A「床に突然、誰のかわからない血が垂れてたんですよ」
黄「血!?...って言っても、誰も怪我なんてしてないッスよ?」
そう。「誰も」怪我なんてしていないのだ。
それに、剣を抜く前は血なんて床にはなかったはず.....
A「...まさか」
黄「Aっち、何かわかったんスか?」
剣を抜く前は血が床についていない。
抜いた後は床に血がついている。
そして、この場にいる誰も怪我はしていない
...となると、血がついてると考えられるものは...
私は「それ」に目線を移す
.....やっぱりか。
A「...剣」
黄「剣...?剣がどうかしたんスか.....??」
頭に「?」が見えるくらい黄瀬はポカンと突っ立って、こちらを見つめている
A「先程抜いた剣の先端を見てください」
黄「え...?剣の先端?っうわぁぁ!!」
いやそんなに驚かなくてもいいだろ...
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likk - 優太ぁぁぁぁぁぁぁぁ え?ツーか君はいったい何者 (2019年6月14日 18時) (レス) id: a124146768 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜月 | 作成日時:2016年1月27日 14時