御姉様と青い夜の残骸【ポップコーン様リクエスト:御姉様と織田作】 ページ48
今回のお話は御姉様シリーズの為、太宰さんと夢主様のお話になります。
また中也さん不在となります。苦手な方はご注意ください。
※
古びた扉を押し開く。
濃い酒と煙草の香りがする。
流華は、ゆったりと階段を降りていく。
広くもない店内で、赤毛の男が蒸留酒を飲んでいた。
なんとなく、隣に座る。
「あんたが…太宰の云ってた女か」
いきなり話しかけられてそいつの顔を見る。
無精髭の似合う、精悍な顔立ち。何処か穏やかな雰囲気。
太宰の知り合いはあまり知らないが、彼奴よりデカい男なんてそういない。
『…手前ェが織田作之助か』
煙草を咥えると、彼が火をくれた。
「ふ…」
『ンだよ?』
「太宰が、とんでもなく目つきと口が悪い、と云っていた。その通りだと思ってな」
『褒め言葉として受け取っとく』
肺一杯に煙を吸い込んで、吐き出す。
『で、どうしたンだよ?』
彼の咥え煙草に火を点けてやる。
織田作はゆったり、煙草を味わっていた。
「どうなんだ…太宰とは?」
『まァ、適当にやってる』
「そうか」
氷が、からんと音を立てる。
「よろしく頼む…太宰のこと」
『わァってるよ』
織田作が席を立つ。
『おやすみ』
流華が軽く手を振る。
彼は少し目を見張って、それから緩く笑った。
其処で、目が覚めた。
まだ、暗い寝室。思わず、隣で眠る男を見る。
ゆるり、と瞼が開いて。鳶色の瞳が此方を見た。
「如何したの、流華?」
何時もの包帯さえしていない手が頬に触れる。
そうされて初めて、自分が泣いているのだと気づいた。
「大丈夫?」
『嗚呼、悪ィ。…ちょっと、夢見が、な』
目を閉じて、恋人の手に甘える。
「嫌な、夢?」
『違ェよ。
…とんでもなく、優しい夢だったンだ…』
いや。屹度、夢なんかではないんだろう。
死んで四年も経ってンのに、まだ、こんな厄介な男の心配なんざ…。
全く人が良いにも程がある。
『なァ、太宰』
「ん?」
『…愛してる』
祈るように口づけを交わして。
二人して敷布の海に沈む。
嗚呼。いつか。
いつか太宰に聞いてみよう。
織田作之助という男について。
――――
リクエストを頂きました。
ポップコーン様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2016年12月4日ちょこ
大正浪漫舞踏予行【青紫様リクエスト:大正浪漫喫茶店逢瀬続編、舞踏会】→←白旗幸福宣言【Chris様リクエスト:すぱだり中也ちゃんと恋人君】
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ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お待たせしました!先刻其の11にてアップ完了いたしましたのでご確認お願い致します。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お久しぶりです!!お返事遅くなり申し訳ありません!!(;´・ω・)リクエスト誠にありがとうございます!!10/27-29日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年10月26日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
パピルス - 記憶の雨の続編をリクエスト宜しいでしょうか。何年か過ぎて生まれ変わった2人を書いて頂きたいです!記憶は全くないけど何処か知っているような感じで惹かれ合うお話を書いて頂きたいです!お願いします(人´∀`*) (2017年10月23日 23時) (レス) id: 8aa7434c54 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 黒鶫文佳さん» お待たせいたしました!!其の7にてアップさせて頂きました!ご確認よろしくお願いいたします! (2016年12月9日 18時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ふうかさん» お待たせいたしました!先刻其の7にてアップ完了致しましたのでご確認くださいませ! (2016年12月8日 23時) (レス) id: 2bc1ed36c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年10月28日 21時