大正浪漫舞踏予行【青紫様リクエスト:大正浪漫喫茶店逢瀬続編、舞踏会】 ページ49
金釦を確り留めて、詰襟を正す。
外套を羽織る。最後に軍帽を頭に乗せて。
「よし」
姿見の前で一度姿勢を正す。
今宵は宴。その為に、正装で身なりを整えたのだ。
ちらと懐中時計を確かめる。
時間は問題ない。
中也は少し笑って部屋を出た。
※
待ち合わせ場所の礼拝堂で、流華は待っていた。
何度見ても、彼女のドレス姿は…可憐だ。
『中原様』
嬉しそうに中也を見上げる流華を抱き締める。
「悪ィな、呼び出して」
『いえ』
微笑む彼女の額に、一つ口づけを落とす。
耳まで真っ赤になってしまった彼女が本当に愛らしい。
するり、と華奢な体を離して。
中也は流華の前に跪く。
外套の黒が、白い大理石の床にふわりと広がる。
『中原様!?』
「中也で良い。
流華…俺の妻になってくれ」
彼女を見上げる。
「手前ェの親父様にも、ちゃんと話は通したから」
駄目か?そう問えば、彼女は泣きそうな顔で首を横に振る。
『私で、良ければ喜んで』
頷いてくれた彼女をきつく抱き締める。
「今日の、宴で…俺らの婚約を発表しようぜ」
『…はい』
真っ赤になって頷く彼女に手を差し出す。
「予行演習だ」
流華の手が重なる。
音楽は無い。
天使を描き出す硝子絵を通して降り注ぐ夕日を浴びて。
二人きり。
神の御許でくるくると、踊る。
『中也さん』
「ン?」
『幸せで、怖いくらいです』
本当に幸福そうに微笑む彼女を抱き寄せて、中也も微笑む。
後数時間もすれば、宴が始まる。
多くの人がくるだろう。
其処で告げるのだ。
中原中也と流華は夫婦になるのだ、と。
祝福を頂いて。
それが済んだら。
ダンスホールの真ん中で。
二人だけで踊ってみせよう。
今宵の主役は自分たちなのだと胸を張って。
「愛してるぜ、流華」
中也は笑って。
祭壇の前で流華に口づけた。
――――
リクエストを頂きました。
青紫様誠にありがとうございます!
このようなモノでよろしかったでしょうか?
可能であれば感想をお願いいたします。
2016年12月5日ちょこ
被加虐被加虐愛執【ふらり火様リクエスト:被加虐シリーズ続編、首を締めながらキス】→←御姉様と青い夜の残骸【ポップコーン様リクエスト:御姉様と織田作】
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ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お待たせしました!先刻其の11にてアップ完了いたしましたのでご確認お願い致します。 (2017年10月29日 22時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - パピルスさん» お久しぶりです!!お返事遅くなり申し訳ありません!!(;´・ω・)リクエスト誠にありがとうございます!!10/27-29日頃アップにて書かせて頂きます!少々お待ちくださいませ! (2017年10月26日 0時) (レス) id: 25228574eb (このIDを非表示/違反報告)
パピルス - 記憶の雨の続編をリクエスト宜しいでしょうか。何年か過ぎて生まれ変わった2人を書いて頂きたいです!記憶は全くないけど何処か知っているような感じで惹かれ合うお話を書いて頂きたいです!お願いします(人´∀`*) (2017年10月23日 23時) (レス) id: 8aa7434c54 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 黒鶫文佳さん» お待たせいたしました!!其の7にてアップさせて頂きました!ご確認よろしくお願いいたします! (2016年12月9日 18時) (レス) id: be59381d22 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - ふうかさん» お待たせいたしました!先刻其の7にてアップ完了致しましたのでご確認くださいませ! (2016年12月8日 23時) (レス) id: 2bc1ed36c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/koro0311ko1/
作成日時:2016年10月28日 21時