第35話 ページ49
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《それじゃあ後でな!》
終話すると、「どうでしたか?」とハッサク先生が聞いてきたので、今の一部始終を簡単に聞かせた。
「なるほど、チリくんらしい。まあ今日は急ぎの予定もありませんし、小生もここにいるとしますよ」
「すみません、ありがとうございます」
「ではその間にAくんの授業見学の打ち合わせをしておきましょうか。次の美術の授業は明後日ですから」
ハッサク先生曰く、明後日の授業は1年生向けの基礎の授業で、それも第1回なのだそう。
「明後日の授業は美術概論。まあ『美術とは何か』というざっくりしていて難しい話です」
「美術概論ですか……確かにある意味一番難しいですね」
「この授業は話を聞いてもらうだけですから、Aくんは見学だけでいいでしょう。教師としての授業が何たるか、その雰囲気を感じてもらえればグッジョブですよ」
「わかりました」
「第2回からはフカマル先輩と一緒にAくんにもアシスタントをお願いする予定です」
「何か準備とか必要ですか?」
「いえいえ、第2回は初めてのアシスタントですしワークシートの配布等お願いするだけですからご心配なくですよ」
そしてハッサク先生はなにやらスケジュールのようなものを取り出した。
「これが今年度の授業計画です。Aくんには1年生の美術の授業は全部出ていただきたく思ってますので、一度目を通してくださいですよ」
「わかりました」
授業計画を見てみると、前期はテラスタルを中心に学び、後期はいろいろなジャンルを見てみる、といった感じのようだ。
「後期は授業準備にも積極的に関わってもらおうと思っているので、頻繁に呼び出してしまうかもしれませんが……」
「大丈夫です、私の学びたいことですから」
「その言葉を聞けて安心しましたですよ。ああ、そうそう。バトル学のキハダ先生と、家庭科のサワロ先生が、授業見学を快諾してくださいましたですよ」
「本当ですか!」
「『実技系の自分の授業なら、生徒と関わりやすいだろう』とのことです」
「確かに実技の授業だったら生徒を見回りやすいですね」
場合によっては生徒と一緒に活動し、様子を間近で見ることも可能だろう。
「詳細についてはまた先生たちとの打ち合わせがあるでしょうから、お楽しみにですよ」
「はい!」
自分のしたい学びができる、という恵まれた環境に感謝である。
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作者名:リトルポム | 作成日時:2022年12月17日 1時