第30話 ページ44
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「……って感じかな」
ネタバレを防ぐためにカエデの手持ちやバトルの詳細を上手く伏せながら話すのは大変だったが、アオイは前のめりになって話を聞いてくれた。
「すごいですね！なんだかジム戦が楽しみになってきました！」
「そう？ならよかった。自慢の相棒たちと一緒に全力で挑んできてね」
「はい！」
話をしている間にセルクルジムの前に到着しており、Aとアオイはここで別れることにした。
「Aさん、今日はありがとうございました！また会えたらその時はよろしくお願いします」
「うん、気をつけて活動を続けてね」
手を振り別れた後、Aは空飛ぶタクシーで南3番ポケモンセンターに飛んだ。
アカデミーのあるテーブルシティの東側の門から出ると、ボウルタウンに続く南3番エリアに出る。
すでにセルクルジムのバッジを獲得している生徒たちは、次にアカデミーから近いボウルジムを目指す者が多いため、この辺りにも生徒が結構いるのだ。
「見た感じ2年生が多い印象かな……」
前回の「宝探し」は新年度早々にあったため、1年生はトレーナーとしての基本に慣れるのが精いっぱいで今回からジムを回る者が多いのだろう。
それを考えると、やはりネモは相当イレギュラーで、周囲が天才と呼ぶのも仕方ないのかもしれない。
ボウルタウンに向かって歩いていると、斜め向こうに赤い旗が小さく見えた。
「……チーム・シェダルのアジト」
チーム・シェダル。
学校内の生徒で結成されている「スター団」という組織のグループの一つで、メンバーがほのおタイプのポケモンを使うこともあり「ほのお組」という呼ばれ方もしているようだ。
スター団についてはAもかなり思うところがある。
何しろ、彼らが大きく話題、もとい問題となった1年半前の事件の時、Aもアカデミーに在学していたのだから。
そして、その事件が、Aが教師を目指そうと決意した大きなきっかけの一つとなったのだから皮肉なものである。
「確か校長先生、チームボスに関してはこれ以上不登校とスター団解散の拒否が続くようであれば、退校処分も致し方なし、って言ってたっけ……」
噂でしかないが、スター団が結託して学園を襲撃するかもしれないという話も漏れ聞こえている。
秩序ある学園の維持のためには、おそらくどのような校長でも考えうるであろう選択だ。
ただ、1年半前の事件の時に在学していたAは、スター団の苦しみも何となく感じ取っていた。
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年12月17日 1時
