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Aが首を傾げると、店員さんが説明してくれた。

振袖を着るには振袖自体の他に、袋帯、帯締め、帯揚げ、長襦袢、半襟、重ね襟、といった小物が外から見えるため、コーディネートの必要があるそうだ。

その他、靴に相当する草履、鞄、髪飾りもコーディネートに重要である。

すべてを選んで、さらに着付けに20分ほど。

「ち、チリ姉さん」

「ん、なんや?」

「振袖って時間かかるね……大変だったんだね、当時」

「……わかってくれるかA」

「多分チリ姉さんどっちかというとこういうのサクサク終わらせたい方じゃないかなって」

「せやねん!」

チリはグッと拳を握ってそう言った。

「はぁぁ、先回りして気持ち汲んでくれるとか、もうホンマにAって嫁さん向きの子やんなぁ〜!」

ああ可愛い、と片手で顔を覆いながら感情を爆発させるチリ。

それを見た店員さんが、

「であれば、観光客向けに定番の構成をこちらで用意してありますから、それにされます?」

と苦笑しつつ提案してくれた。

「「それでお願いします!!」」







というわけで、なんとかかんとか無事にAの着付けが終了した。

「チリ姉さん終わったよ……ってあれ?チリ姉さんも着替えたの?」

チリはAの知らない間に、男性ものの着物に着替えていた。

Aが着ている振袖のような正装ではなく普段着の着物と羽織だが、暗めの落ち着いた色合いが非常によく似合っている。

「せっかくやからチリちゃんも着替えたろ思ってな。似合うかー?」

「うん、素敵だと思う」

「おーきに。にしてもA、やっぱチリちゃんが見込んだ通りや。劇的に可愛いで」

「そ、そこまで?」

「おん、チリちゃん的には世界で一番可愛く着こなせとると思うで」

今日もチリの可愛がりぶりは絶好調のようである。

すると店員さんが、

「よろしければ提携のフォトスタジオをご紹介しましょうか?」

と言ってくれた。

なんでも、このお店からの紹介だと、割安で記念撮影をしてくれるそうで、ヘアセットとメイクもしてもらえるそうだ。

「せっかくやし、行ってみよか」

というチリの判断で、二人はフォトスタジオに向かうことになった。

「言うて新成人は振袖着て家族写真撮ったりセットの中で撮影したりするもんやから、特段特別なことというわけでもないしな〜」

「家族ぐるみでお祝い、って感じなんだ?」

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作者名:リトルポム | 作成日時:2022年12月17日 1時

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