第22話 ページ30
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「アオイちゃんか。……ん?1年A組って言ったね。ってことは、ネモちゃんとも知り合いかな」
「あ、はい!引っ越して来たらたまたまネモの実家が近所で!」
「なるほどね!どうかな、パルデアには慣れた?」
「はい、とっても楽しいです!」
「良かった良かった。それにしても、どうして私のことを知っていたの?」
疑問はその一点に尽きる。
年の離れた1年生の、それもアカデミーに入ってそこまで経っていないアオイが、なぜ自分のことを知っているのか。
特に有名人ではないはずなのだが。
「あ、実は、ネモからAさんのこと聞いて」
「ネモちゃんから?」
「ちょっと特別な生徒なんだって。先生を目指すために、アカデミーでずっと勉強続けてるって聞いてます」
「そうなの!?」
「びっくりしました、先生を目指すのってそんなに勉強しないといけないんですか?」
「そうだね……」
アオイの疑問も当然だろう。
教師のような専門職の目指し方は、なかなか自分の進路候補にしない限りは知る機会がないものである。
「教える教科のプロフェッショナルであることはもちろん、生徒たちの成長に直接関わる仕事だから、例えば生徒の相談へののり方、青少年の心理への理解、教育への倫理観の醸成、そもそも教育とは何なのか……」
「ひ、ひええ……いっぱいある……」
「それらをすべて学んだうえで、さらに試験に合格しないと、教師にはなれないんだよ」
「大変なお仕事なんですね……!」
「だからこそやりがいのある仕事なんだけどね。ところでアオイちゃん、セルクルタウンに用事があったんじゃない?」
「あ、そうでした。ジム戦に来たんですけど、お昼先にしようかなって!」
「なるほど、それで具材を買いに来たのね」
「具材……?ここお惣菜屋さんじゃないんですか?」
「ああ、ここオーラオーラはお惣菜の店とは言っているけれど、実質サンドイッチの材料を買うところという感じね。アオイちゃん、ピクニックでサンドイッチを作った経験は?」
「そ、そもそもピクニック?をしたことなくて……普通にお弁当持って出かける『ピクニック』とは違うんですよね?」
文化の違いからか、アオイはポケモントレーナーがする「ピクニック」の経験が無いようである。
「そうだね、ポケモントレーナーが『ピクニック』って言う時には、基本ポケモンのお世話と一体になってるから。良かったら一緒にやってみる?」
「い、いいんですか!ぜひ、お願いします!」
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作者名:リトルポム | 作成日時:2022年12月17日 1時