第21話 ページ29
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「え?遅刻?」
《んもー!四天王の集まり!集合時間過ぎてますの!》
「……」
チリはスマホロトムの時刻表示を確認すると、「うっわすっかり過ぎとる」と眉を顰めた。
「堪忍なあポピー、チリちゃん今セルクルタウンにおるねん」
《セルクルタウンですの?なら高くてもタクシーは特急料金つけて来るのです!もうみんな集まってチリちゃん待ちですのー!》
「えっまじかオモダカさんもおるん?」
《あと5分で到着するとのことですのー!》
「あと5分!?特急つけてもここからじゃ10分はかかるで……」
《さあお急ぎなさいなチリちゃん!》
「お、おう!ありがとうなポピー!」
チリは終話すると間髪入れずにタクシーに連絡を入れている。
「あーもしもし、特急つけてタクシー1台、セルクルタウン東のポケモンセンター前にお願いしますわ」
その後、二人して駆け足でポケモンセンターへ向かう。
「Aはこの後どうするん?」
「しばらくこの辺りうろうろしてるよ。今日はアカデミーでの授業も無いし」
「そか」
ポケモンセンターに着くと、すでにタクシーが停車していた。さすが仕事が早い。
「んじゃあチリちゃんはリーグ行くけど、気ぃつけて活動するんやで」
チリがAの頭を優しく撫で、軽く額にくちづける。
チリ曰く「チリちゃんパワーで守ったるで〜」とのことで、別れるときのルーティーンだ。
「そんじゃあ行ってくるな!」
「うん、ありがとうチリ姉さん!気をつけてー!」
さすが特急料金、タクシーはぐんぐん遠くなり、ものの数分で形がわからなくなった。
チリと別れたAは、さてどうするか、と周りを見回した。
とりあえず、お昼も近くなってきたので、昼食の算段をせねばなるまい。
そう判断したAは、セルクルタウン内にある「オーラオーラ」にてサンドイッチの材料を購入することにした。
ちょうど今くらいのタイミングでセルクルタウンに到着した生徒も多いようで、お店はなかなかの混雑ぶりである。
10分くらい並んでようやくお目当ての材料を購入し店を離れようとすると、「あの!」と声をかけられた。
12〜13歳くらいの、片側サイドの三つ編みが印象的な活発そうな女の子だ。
「Aさん、ですよね!?」
彼女はなぜかAの名前を知っているらしい。
「そうだけど……あなたは?」
「私1年A組のアオイっていいます!この前アカデミーに転校してきたんです!」
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作者名:リトルポム | 作成日時:2022年12月17日 1時