第20話 ページ28
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Aはもう少し深掘りしてみることにする。
「バッジを揃える以外に、何かやってみようと思ってることはある？」
「え？」
「ほら、強くなるためにいろんな人や野生のポケモンと戦って、経験を積むとか。ポケモンをたくさん捕まえて、ポケモンごとの特徴を覚えるとか」
「いやそんなのやってたら時間が惜しいと思うけど。というかジムバッジ8個揃えられるトレーナーは相当強いんだろ？なら最初からバッジ揃えるだけで済むんじゃないの」
「……そっか、君はそう思うのかあ」
「もういい？セルクルタウンにはもう用事無いし、とっとと出発したいから」
「ああごめんね、引き留めて。気をつけて行ってね！」
「お互いなー」
挑戦者を見送ったあと、Aはチリに今の一部始終を語り聞かせた。
「ははーん、なるほどそういうことか。事前に情報仕入れてたんやな」
「うん。ただ、チリ姉さんも感じたと思うけど、このままじゃあの子は仮にバッジ8個揃えても……」
「ああ。バッジ8個に相応しい強さは無い。対応力はバッジ4個分も無いやろ。そういう子は仮にリーグ来ても容赦なく面接で切るわ」
「これで『自力で各ジムを回って予習した』っていうのならもう少し譲歩できるかもしれないけど……」
「兄貴に頼りっきりやったって時点でアウトやな。自分で何かを見つけ出すための『宝探し』やのに、その趣旨を全くわかってへん」
「気になったのは、その動機が『成績』だったことなんだけど……」
確かに成績評価は過程というよりは結果を見て判断されることが多い。
先生たちの目が届かない課外授業の評価であるなら尚更だ。
「印字されるステータスのためだけに作った成果が、本人を成長させてくれるものとは思えない。結果の字面では劣っても、もっと本人の成長を伴っている人は多いよね」
「せやなあ……」
「早速重い学びを得られた気がする。今度の報告でハッサク先生に伝えてみるよ」
「ああ、しっかり先生の意見聞いてくるとええで」
すると、《ロトロトロトロト……》とチリのスマホロトムが着信音を響かせた。
「ん、誰や？」
電話を繋げると、「もしもし？」と可愛らしい少女の声が聞こえた。
《チリちゃんですかー？》
「お、ポピーか！」
電話口の少女・ポピーは幼いながら四天王二番手を務めるはがねタイプ使い。
「んでどうした？」
《お気づきですー？チリちゃん遅刻ですのー！》
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年12月17日 1時
