第11話 ページ16
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「どういたしまして。でも応急処置だから、すぐにポケモンセンターに行った方がいいね。南2番ポケモンセンターがもうすぐあるから、一緒に行こうか」
「う、うん!」
3人で連れ立ってポケモンセンターを目指しながら、Aが「キズぐすりは持ってなかったの?」と聞くと、
「持ってたんだけど、さっきポケモン勝負をした時に使い切っちゃって……」
と返ってきた。
「それで補給する前にヤヤコマに襲われちゃったのね」
「うん……」
会話を聞いていたチリが「うーん」と考え込む。
「見たとこ自分のニャオハの実力なら、先に進むんはもう少し訓練してからの方がええやろなあ」
「えっ、お兄ちゃんわかるの?」
「お兄ちゃんちゃうで!お姉ちゃんや!」
「え!?ご、ごめんなさい」
チリは今回のように、中性的な容姿から男性に間違えられることもしばしばである。
「まあええけどな。今回はチリちゃんたちが通りかかったからよかったものの、街の外の場合誰もいなくて助けてもらえへん可能性の方が高いからな」
「うう……」
「せやから、今日はしばらくポケモンセンターのすぐ近くで野生のポケモン相手に訓練しとくのがええで。少しでもニャオハが疲れてそうならポケモンセンターに戻るんや」
「わ、わかった!」
「んで、この辺りのポケモンを一発か二発で倒せるようになったら先進みや」
男子生徒はチリのアドバイスを熱心に聞きうんうんと頷いている。
Aも「それから仲間を増やすのも忘れずにね」と付け足す。
「特にニャオハが苦手なほのおタイプやむしタイプ、ひこうタイプに強い子を捕まえておくといいよ」
それを聞き、男子生徒は「だったらいわタイプのポケモンだね!」と笑顔を見せた。
「お、ちゃーんとタイプ相性は頭に入っとるみたいやな!」
「うん!アカデミーでしっかり授業受けたから!」
「よしよし。モンスターボールは持っとるか?」
「5個くらい!」
「なら1匹は捕まえられるやろ!きばりや〜!」
そんなこんなで到着したポケモンセンター。
スタッフのお姉さんが「こんにちは!」と挨拶してくれる。
「ぼくのニャオハ、お願いします!」
「はい、それではお預かりしますね!」
こうしてニャオハは元気いっぱいになり、男子生徒は「ありがとう!」とAとチリに手を振って早速近くで野生のポケモンを相手取っている。
「ええなあ、1年生ってキラキラしとるわ」
感慨深そうなチリであるが、彼女もまだ20代半ばという若さである。
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作者名:リトルポム | 作成日時:2022年12月17日 1時