【黒バス】私は幸ちゃんにしか興味ありません【笠松幸男】 続編

第34話 ページ35

｢いらっしゃい！たこ焼きどう？？｣


｢たい焼きもあるよー！｣







私の周りには人、人、人。

歩く度に屋台の人から声をかけられる。



すれ違う人たちはその声につられて店の前で立ち止まる。

私だってその1人になりたくないわけじゃない。



でも今はそれに構ってる余裕はない。




｢着いた。｣




待ち合わせに指定された場所。


辺りを見渡すと比較的ここは人が少ない場所で、

待ち合わせには最適な場所かもしれなかった。



来たことがないはずなのに何故か懐かしい感じがした。


もしかしたら前に私は来てたのかもしれない。

だけど全くと言っていいほど思い出せない。



どうして断片的にも覚えていないのだろうか。









それから20分ほど経った。

幸先輩はまだ来てない。

たまにそれらしい姿は見つけるけど、全員私の見間違い。



約束の時間はもう過ぎているというのに。






不吉な予感が頭をよぎった。

もしかしてすっぽかされたのだろうか。



だって約束したのはもう1ヶ月以上前。

忘れててもおかしくはないのかもしれない。



もしかしたら別の女の人に誘われて、そっちに行ってしまったのかもしれない。


私が涙を抑えて歩き出そうとした時だった。




ふと強く腕を掴まれた。

私は咄嗟に後ろを振り向いた。








｢順君…｣


｢なんで笠松さんと一緒にいねぇんだ？｣


｢なんでって、来てないから。｣






聞かれたくないことを聞かれ、私は思わず顔を伏せた。






｢でも、なんで順君がここにいるの？
どうして幸先輩と待ち合わせしてること知ってるの？｣


｢ごめん。2人が約束した日、俺もAに会いに行こうとしてたんだ。
でもなんか行きにくくなって、1回家に戻ろうとしてんだけどよ。
なんか気になって戻ったら…｣


｢会話が聞こえちゃったってこと？｣


｢そうだ。7時に2人が会えばそれでいい。
でももし会ってなかったら、俺が奪ってやろうって思ってた。｣






私は今順くんが言った言葉を反芻した。

でもどう考えてもその言葉の意味は一つで、私は言葉に詰まった。





｢何度だって諦めようと思った。でも無理だった。
Aがどれだけ笠松さんのことを好きだったとしても、気持ちは変えれなかった。
でももうこれで最後にする。

Aのことが好きだ。俺と付き合ってくれ。｣

第36話→←第33話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す