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小学校卒業式の日

俺はその成長した姿に不覚にも泣いてしまう。


学校で書いた家族への手紙として

Aは俺に手紙をくれたのだ。


その字はまだ幼く、なんだか微笑ましかった。

今までの感謝とかそういうのが書いてあって

Aを育ててきてよかったな、と改めて思ったのだ。





卒業してからは特に時間の流れが早かった。

中学生になったAと

俺との間に少し距離ができた。


まあ、Aも思春期だし俺も深くは追求しなかった。



そんなある日

今では別々になった部屋で一人過ごしていると

Aが俺の部屋に入ってきた。



「……鉄朗、ちょっといい?」

「ん、どーした」



「……なんか、ちょっと相談があって」



そう言ったAは前と同じ泣きそうな顔だった。

俺は自分の隣をポンポンと叩きAを座らせる。



「なんでも聞くから、言ってみ?」

「……ありがと」



小さく笑ったAは

静かに話し出した。



「なんか、友達にね。鉄朗といるところ見られたみたいでさ。変な噂広められたの」



その表情は

どんな噂かは聞いてほしくないと言っていた


なんとなく、察した。



「……お兄ちゃんって、言ったんだけど。信じてもらえなくて」

「あー、そうか」


「鉄朗も私といたらさ、仕事先の人とかに変に言われたりしないの?」

「言われねえよ」



実際言われたことはある。

色々やってんじゃねえかとかそーゆーの。

けど、全部無視した。


それをAに言っても心配させるだけだろう。



「鉄朗は、強いよね。昔から」

「お前の方が強いっての」



ふぅ、とため息をついたAは

俺をじっと見て意味深な言葉を放つ。




「私がもし、家を出ていったら鉄朗は私を探してくれる?」

と。



「当たり前だろーが。つか出ていくなよ?」

「うん、そっか、そうだよね。ありがとう!鉄朗ならそう言うと思った」



そう言ってふにゃりと笑顔を俺に見せる。

その場に立ち上がって

ありがとね!と言って部屋を出ていくA。


その後ろ姿は


ついこの間までガキだったはずなのに

少し大人びて感じた。

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妄想夢豚 - 待ってやばい泣きすぎたこんなに泣いたの【君の膵臓をた◯たい】の映画見て以来だ! (2018年8月16日 14時) (レス) id: cbad54000a (このIDを非表示/違反報告)
えーすらぶ(プロフ) - なんでだろ…何回読んでも涙腺が機能しない… (2017年8月5日 16時) (レス) id: 9061695b3b (このIDを非表示/違反報告)
星売り屋(プロフ) - 涙線がぁあ!感動しました!これからも頑張って下さい!くっこの小説の良さを伝えきれない自分に腹が立ちます! (2017年1月4日 10時) (レス) id: 219465c9fb (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯。(プロフ) - いい話だね涙がポロポロ出ちゃった。°(°`ω´ °)°。 (2017年1月4日 3時) (レス) id: 7a0b665db0 (このIDを非表示/違反報告)
リリス(プロフ) - 久しぶりに泣いた! ボロボロ涙が溢れて、涙が落ちるまで自分が泣いてるって気づけませんでした(笑) (2016年12月14日 21時) (レス) id: 77b715be7d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こもちこんぶ | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2016年12月7日 17時

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