毒の華2【高尾和成】

華82 ページ44

貴「ねぇ……変じゃない？」

伊月「ああ。可愛いよ」









今日は地元のお祭り。

和成から誘われて、
浴衣姿みたいって言うから着てみたけど……









似合っているかが不安で
鏡の前で、自分の姿をじろじろと見つめる。

こんなに見たのなんて久しぶりだな。









伊月「それにしても、
Aの浴衣姿とか久しぶりだな」









嬉しそうに私を見るお兄ちゃん。

祭りなんて、
あの日から行こうとも思わなかった。









伊月「ほら、高尾待ってるんじゃないか？
お土産よろしくな」









お兄ちゃんは、
そう言い、ニコッと笑って送り出してくれた。









きっと、私が外に出るのを
誰よりも喜んでいるのは、お兄ちゃんだ。


あの日から引きこもり状態だった私を見て、
お兄ちゃんはいつも辛そうな顔をしていた。









伊月「行ってらっしゃい、A」




貴「行ってきます…」









お土産でも買って帰ろうなんて思って、
少しだけ頬が緩んだ。









.









そのまま家を出て歩けば、
前方に人影が見える。









「楽しそうだな…祭りか？」









.









貴「真……」

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