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待ち合わせ時間丁度に彼女は姿を現した。そんなとりとめもない偶然の出来事に感心しながらカフェに入った。
本当はもう少し日が経ってから連絡するつもりだったが、どうも我慢出来ず、昼食に誘ってしまった。
彼女の何が気になったのかはわからない。何処を気に入っているのかもわからない。ただ、綺麗な顔立ちをしているし、華奢で可愛い。
話している時に顔を見ようと一生懸命見上げてくるところが愛らしく、写真を撮りたいとさえ思った。
そして、目の前でサラダを口にしているその彼女に目を移すと、ぱちり、と視線が絡まった。
｢そういえば、昨日なんですけどね。太宰さんと別れてから信号待ちしてたら、変な人に絡まれて｣
｢それは大変だったね、どんな人だい？｣
｢なんていうか、多分昔に会ったことある人だと思うんですけど、今夜会おうよって。｣
｢それで、その人としたの？｣
｢してませんよ、手汗でべとべとした手で触られたくらいです。なにこいつ、って思ってたら帽子の似合う素敵な人が助けてくれました。｣
｢…そう、よかった。…、帽子の似合う素敵な人、って何色の髪だった？｣
｢橙色です。｣
｢…背は低かった？｣
｢小柄だったと思います。｣
くそ、蛞蝓め。この子を助けたことは褒めてあげないと。どうせなら私が居合わせて助けたかった。などと叶いもしない願望を浮かべながら、心の中で舌打ちした。
とりあえず、そのおっさんに連れていかれなくて安心だ。まあ、異能があるしすぐに帰れたのだろうけど。
何もされていなくてよかった、と残り少なくなった水を飲み干した。
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作者名：こめこ | 作成日時：2018年4月28日 22時
