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硬いソファーで就寝し、夜を明かした。
窓が近くにない建物内なので、目が覚めてすぐに朝だと感じることは難しい。時計をみてやっと、今が午前十時だと気がついた。
そしてスマホを手に取る。いつもなら起きてすぐツイッターを見るのに、今日はしなかった。
いつもなら一時間後、ようやく眠気か覚めてくるのに、今日はすぐに覚めた。
通知欄に彼の名前があったからだ。
何も迷うことはなく、大量のツイッター通知を無視してメッセージを開く。
お昼の誘いだった。
昼食でも一緒に、良ければどうだい?という二行にも満たないメッセージ。送信時間は三時になっていた。どんな生活リズムなの、と思いながら是非。と返信する。
返事はすぐに来た。
カフェに12時に行けばいいようだ。私は了解です、と返して、いつでも出掛けられるように身支度を始めた。
有料のシャワールームを借りた。髪にドライアーの風をあてながらまた冷静に色んなことを考えてしまう。
いつもならこの時間、まだツイッターの通知を拾っているだろう。なのに今日は確認は愚か、アプリを開くことすらしていないことに困惑してしまう。
一夜一緒に寝た人のことがこんなにも気になるのは初めてだった。
自分が忌み嫌っていたはずのその行為を気持ちいいと感じたのは昨日が初めてだった。
またしたい、また会いたいと思うのも、これが初めてだった。
本当に私の初めてを沢山持っていかれる。
こんなこと望める立場じゃないのに、もしも、なんてことを考えてしまう。
ただ、気になっているだけ。それは彼に異能が効かなかったから。演技だと見破られたから。
それ以外になにもない。
言い聞かせるようにしてネットカフェを出た。
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作者名:こめこ | 作成日時:2018年4月28日 22時