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「…?
何だ?」
「どうしたの?
決まった?」
二人の視線が私に向いていて、それがすごく優しいもので、よけいに嬉しくなってしまった。
二人とも、私がしたいことを一番に優先しようとしてくれてる。これって、すごいことなんじゃないかな。
特別扱いされてるみたいで、胸の内側がくすぐったい。
「ふふ」
「どうした?」
「アーヤ?」
「ありがとう」
私はお礼を言ってから、改めて考えてみた。
日没までたぶんまだ三十分くらいある。それなら少しだけ、寄り道してみたいかも。
ママが嫌がるから、私はこういうところに来たことがなかった。でも、興味が無いわけじゃない。
小学生の頃、クラスメートが『原宿に行った』って話を、遠巻きに聞いてたんだよね。可愛いお店がいっぱいだったって聞こえて、羨ましかった。
うん。決まり。
「竹下通りに行ってみたい!」
「OK」
「はぐれるなよ」
う。
だから、好きではぐれそうになったわけじゃないんだってば。
でも、通りの向こうの目的地は、さっきと同じくらい人が多そう。
「…小塚くん。
背中のとこ、掴まってていい?」
「背中?
いいけど…」
「ありがとう」
コートの後ろ側にあった飾り部分に、軽く掴まる。
これできっと大丈夫! って、思ったんだけど…。
「…小塚くん?」
「!
あ、ごめん。
何でもない。
行こうか」
「???」
小塚くんの動きが止まってしまって、私は首を傾げる。
何かあったのかな?
「小塚。
俺、後ろからついてく。
万が一はぐれそうになっても、フォローすっから」
「ありがとう、上杉」
「立花。
前見て歩けよ」
「……」
わかってる、って言いたかったけど、言わなかった。
だって、上杉くんが心配してくれてるんだってことが伝わってきたから。
「上杉くんも、はぐれないでね」
「…ばーか」
コツンって小突かれてしまった。
でも、上杉くんの顔は耳まで赤くなってる。
わ。わわ。
上杉くん、照れてるのかな…。
「アーヤ。
信号渡るよ」
「うん」
小塚くんのコートにしっかり掴まって、私たちは更なる人混みの中に入って行った。
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三輪車(プロフ) - いつも素敵な作品をありがとうございます。こまさんのお話大好きです! (2021年12月21日 22時) (レス) id: 22eda808b2 (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - hanaさん» ありがとうございます(#^^#) (2020年3月5日 21時) (レス) id: c47ae97c9e (このIDを非表示/違反報告)
hana(プロフ) - Precious KZのシリーズ大好きです! (2018年6月5日 14時) (レス) id: be288b1025 (このIDを非表示/違反報告)
清霞(プロフ) - こまさん» 有難うございます。前回の私のボードに書き込ませて頂きますね、有難うございます* (2018年3月19日 10時) (レス) id: 43f070c562 (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - 清霞さん» こんにちは!連絡遅くなりました。返信遅くなりますが、ボードでのお話OKです。ちょっと今バタバタしていて、お待たせしてしまってすみません。入試お疲れさまでした(*^。^*) (2018年3月16日 17時) (レス) id: f7bf63d22e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こま | 作成日時:2017年12月19日 22時