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*


「…?
 何だ?」



「どうしたの?
 決まった?」





 二人の視線が私に向いていて、それがすごく優しいもので、よけいに嬉しくなってしまった。

 二人とも、私がしたいことを一番に優先しようとしてくれてる。これって、すごいことなんじゃないかな。

 特別扱いされてるみたいで、胸の内側がくすぐったい。





「ふふ」



「どうした?」



「アーヤ?」



「ありがとう」





 私はお礼を言ってから、改めて考えてみた。

 日没までたぶんまだ三十分くらいある。それなら少しだけ、寄り道してみたいかも。

 ママが嫌がるから、私はこういうところに来たことがなかった。でも、興味が無いわけじゃない。

 小学生の頃、クラスメートが『原宿に行った』って話を、遠巻きに聞いてたんだよね。可愛いお店がいっぱいだったって聞こえて、羨ましかった。

 うん。決まり。





「竹下通りに行ってみたい!」



「OK」



「はぐれるなよ」





 う。

 だから、好きではぐれそうになったわけじゃないんだってば。

 でも、通りの向こうの目的地は、さっきと同じくらい人が多そう。





「…小塚くん。
 背中のとこ、掴まってていい?」



「背中?
 いいけど…」



「ありがとう」





 コートの後ろ側にあった飾り部分に、軽く掴まる。

 これできっと大丈夫! って、思ったんだけど…。





「…小塚くん?」



「!
 あ、ごめん。
 何でもない。
 行こうか」



「???」





 小塚くんの動きが止まってしまって、私は首を傾げる。

 何かあったのかな?





「小塚。
 俺、後ろからついてく。
 万が一はぐれそうになっても、フォローすっから」



「ありがとう、上杉」



「立花。
 前見て歩けよ」



「……」





 わかってる、って言いたかったけど、言わなかった。
 だって、上杉くんが心配してくれてるんだってことが伝わってきたから。





「上杉くんも、はぐれないでね」



「…ばーか」





 コツンって小突かれてしまった。

 でも、上杉くんの顔は耳まで赤くなってる。

 わ。わわ。

 上杉くん、照れてるのかな…。





「アーヤ。
 信号渡るよ」



「うん」





 小塚くんのコートにしっかり掴まって、私たちは更なる人混みの中に入って行った。



*

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三輪車(プロフ) - いつも素敵な作品をありがとうございます。こまさんのお話大好きです! (2021年12月21日 22時) (レス) id: 22eda808b2 (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - hanaさん» ありがとうございます(#^^#) (2020年3月5日 21時) (レス) id: c47ae97c9e (このIDを非表示/違反報告)
hana(プロフ) - Precious KZのシリーズ大好きです! (2018年6月5日 14時) (レス) id: be288b1025 (このIDを非表示/違反報告)
清霞(プロフ) - こまさん» 有難うございます。前回の私のボードに書き込ませて頂きますね、有難うございます* (2018年3月19日 10時) (レス) id: 43f070c562 (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - 清霞さん» こんにちは!連絡遅くなりました。返信遅くなりますが、ボードでのお話OKです。ちょっと今バタバタしていて、お待たせしてしまってすみません。入試お疲れさまでした(*^。^*) (2018年3月16日 17時) (レス) id: f7bf63d22e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こま | 作成日時:2017年12月19日 22時

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