【◇】Ace of Diamond

真田俊平 ページ23

*


『しゅんぺーお腹空いたぁ』

「俺だって腹へったぁ」

『ぱすた作ってよ俊平〜』

「だって俺疲れてるもん」



帰ってきた俊平の腰に抱きつく｡

うちの両親も俊平の両親も
今日はお仕事でいないため､


「A､お昼は俊平くんと食べなさいね」


とお母さんが事前に頼んでたらしく
お昼前に真田家に上がらせてもらった｡
そんで俊平帰ってきて今に至る｡



「A女の子じゃん」

『俊平のが料理上手でしょ』

「そりゃそうだけど」

『否定してよちょっと』



ずりずりと引き摺られながらリビングへ｡
急に抱っこされてソファーにぽいされた｡
ぼふん！と背中から柔らかく着地｡



「なんか軽く作ろっかな」

『かわいい幼馴染みにもわけてー』

「はいはい､かわいいから仕方ねぇな」

『わーい！』



俊平の作るご飯はすごくおいしい｡

パスタが得意で1番おいしいんだけど
俊平の作るご飯なら何でも好きよ私｡



「何がいい?」

『えーっとね…ぱすた』

「だろうな」



妹だいすきなお兄ちゃんみたいに
嬉しそうに笑って椅子に掛けてあった
青色のいかしたエプロンを手に取る彼｡



『ナポリタンがいいなー』

「りょーかい」



エプロンの紐をしゅるしゅるっと縛って
材料とか器具とか準備してるのかっこいい｡



『俊平！何か手伝うことあるー?料理以外で』

「なんか歌ってよ」

『私が音痴って知ってるよね』

「久々に聴きたくてさ､滅びの歌」

『やめてください』



と言いつつも断りきれず思い付いた曲を
端から歌ってくと俊平が笑いを堪える声と
ふわり､ケチャップのいい匂いがしてくる｡



「相変わらずな､お前」

『相変わらずの美声でしょ』

「鼻声の間違いだろ」

『うまいこと言わないでよ』

「できたよ」



テーブルにフライパンが置かれた｡

まだ熱くてじゅーじゅーいってる
それに近付くと何とも言えないいい香りが｡



『おいしそー！』

「皿とフォーク持っといで」

『あーい』



ふたり分のお皿とフォーク持って
俊平と向かい合わせで椅子に座る｡


ナポリタンを頬張る私を俊平は
娘を見守るお父さん的な目で見てた｡



「A見てたら元気出たわ」

『そりゃよかった』

「明日から頑張れそう」

『いつも頑張りなよ』



手抜きはいけませんぞ俊平くんよ｡
まぁでも頑張るならよしとしましょう｡



「いやそうじゃなくて」

『?』

「あーまぁいいや､食べよーぜ」

『もう食べてるけどね』



想いが通じるのはもう少し先の話｡


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