【◇】Ace of Diamond

麻生尊 ページ11

*



『ゲームしてないで構ってよ』



幼馴染みは悲しいぞ！と尊の背中に
ぎゅっとしがみつけば肩が震えた｡

おっ､これはこれは…｡



「何抱き着いてんだよお前…」

『折角おめでとうって来たのに』

「ここ終わったら構う」

『分かった！離れるね』



潔く尊から離れてテーブルの上の
アボカドチップスに手を伸ばした｡



『尊おめでと』

「うっす」

『嬉しいですか』

「そりゃもう」



言った通りゲームをセーブしたら
止めてくれて私の向かいに座る｡



『かっこよかったっすよ』

「まぁそうだろうな」

『いまの嘘』

「てめ」



青道入ってあんまり機会恵まれないと
感じてたから尊が出たのは本当嬉しい｡

尊のことは小さい頃から見てたし
同級生の誰よりも想ってきたつもり｡



『アボカドおいしい』

「それうめーだろ」

『これは本当においしい』

「こら3枚食いすんな」

『けち』



お祝いといっても何時もと変わらず
ただ尊の部屋でごろごろみたいな｡



『ね〜尊あのさ』

「あん?」

『ベッドの下みていい?』

「勝手に見ろよ」



正直暇｡話すこともないし｡

急に何かを熱く語られても困るし｡
言わなくても基本的に分かるし｡
そんくらい仲いいし｡


ベッドの下を覗いて溜め息を吐く｡



『あ〜ないか』

「今時ねぇよ」

『つまんないの』



何このムードもへったくれもない感じ｡
こういうのが私達らしいのかも知れない｡
色気も糞もないようなこの感じが｡


でも折角ふたりきりなんだから…ねぇ?



『たける』

「き､急に何だよ」

『ほら何も思わないの?』



彼の手をぎゅっと握ってみるも
顔を赤くするだけで何もない｡

やばい､何か虚しくてやばい｡



『尊は私のこと好きじゃない…?』

「はぁ!!?お前､なに…ちょ」

『手とか触っても何も思わないの』

「いや泣くことないだろ！ほら」

『泣いてないわこの麻生が！！！』

「はぁ!!?」



よく分かんないキレ方をして
部屋を飛び出すも廊下で転んだ｡
恥ずかしさでもう死にそうです｡



「見事過ぎて笑えるわ」

『膝痛い…』

「戻んぞ」



私を抱き抱えて部屋に連れ戻される｡

彼の腕のなかでぐずぐずしてると
不器用な手付きで頭を撫でてくれた｡



「俺もすきだわ､ばか」

『私の方がすきだもん』

「まったく…」



何だかんだイケメンだもん尊｡

ほんとずるいよね｡好きだけど｡


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