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「我々は暗部。暗部は命を懸けて里の為に戦う者。それは自分だけではありません。仲間の命も必要とあらば犠牲にする、それが我々のやり方です。」
『…だから貴方達が死ぬとしても見殺しにしろって言いたいんですか』
「…御身と、里を守ることを第一にお考え下さいと申し上げたまでです。」
酉面の暗部の言葉に全員が無言のまま、しかししっかりと頷いた。知ってるけどな。カカシ先生が仲間殺しで有名になったのもそれが原因だし。勿論知ってはいるけど、
『イヤです』
「は?…今なんと?」
『イ・ヤ・で・す!』
「!」
全員がぴくりと肩を動かし、それから困ったように相互に顔を見合わせる。すぅ、と私は大きく息を吸った。ここは譲れないのだ。絶対に。
『守るものが里という巨大なものである以上、綺麗事が全て通じるとは思ってません。使えるものは使うし、捨てるべきものは捨てる。必要な犠牲なら甘んじて受け入れましょう。
…でもここであなた方が死ぬことは必要な犠牲じゃなかった。違います?』
「確かにそれはそうですが…でもあなたの体に負荷が、」
『私がたかが1度の切り傷で逃げたり死んだりすると思ってらっしゃると。こちとらそんな甘い覚悟で里守るとかほざいてないんですよ』
「それは…でもあなたは予言の子で、里を守る要の…」
『あ〜〜〜〜〜〜〜〜もうくどいなホント!!!』
「くどい!?」
びっくりしたような仕草でこちらを見上げる暗部にいいですか、と叫びながらビシリと指をその顔に突きつける。
『私があなたがたを守ったのはあなた達のためだけじゃありません。私は予言の子に成ると決めた。私は、自分が予言の子のAAであることを証明するため人を救う。それを成すためなら、辛いことでも、苦しいことでも、自らの手を汚すことだとしても、なんだってやるんです!』
ワガママ、エゴ、自己満足。そういうものの押しつけが彼らを救っただけの話。いや、救うなんて言葉にしていい行動じゃない。褒められる理由も認められる理屈もない。
『ハイこの話これで終わり!私が気に入らないなら殺す気で邪魔してくださいね、まあ火影様に逆らえるならですけど!!』
文句あっかチクショウ、と鼻息荒く彼らを見下ろす。暗部達はぽかんとした様子で固まっていた。耳の痛くなりそうな沈黙が部屋に降りた時、黙って話を聞いていたカカシ先生が私の肩にポンと手を置いた。
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ぱーぷる姫(プロフ) - 6時間ぶっ続けで読み続けました。どうかハッピエンドに! (7月5日 6時) (レス) @page44 id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
夢優(プロフ) - 初コメ失礼致します。陰ながらずっと応援しておりました。同じくカカシ先生が好きな一人です。更新される毎に面白く、次のお話が楽しみでいます。今後の展開楽しみです。Twitterの方にフォロー申請させて頂きました。これからも応援しております。 (2022年8月19日 12時) (レス) id: 8b891f9a28 (このIDを非表示/違反報告)
Luna - 1作品目から秒で読み終わってしまった、、楽しみにしてます! (2022年8月1日 23時) (レス) @page47 id: c3b541dbab (このIDを非表示/違反報告)
巴(プロフ) - 更新嬉しいです!やっぱりこれは神作品 いつまでも応援しています!! (2022年7月6日 0時) (レス) @page44 id: ef698603e3 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - あああああああああああああおわってしまったぁぁぁぁぁぁあ (2022年6月20日 3時) (レス) @page40 id: 9e745c4531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宙 | 作成日時:2022年1月27日 22時