ネモフィラは日盛を仰ぐ【NARUTO】ー下ー

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痛い沈黙がその場に降りる。その中で1人、予言の子は淡く微笑んで首を横に振った。


『…気を遣ったわけじゃないですよ。ただ私がそれを口にするのが怖かっただけです。それにどの道、分かっていたところでこの試験を中止することは出来なかったですしね』

｢！｣


なんだと、と暗部が小さく呟く。火影様とアンコは黙ってこちらを見ていた。


『…この試験が他里と合同で行う理由。それは他国への牽制と勢力均衡のためですよね』


いわば抑止力。現代社会でアメリカやらロシアやら中国やらが核兵器を持つのと同じ論理だ。この世界の｢核兵器｣は｢優秀な忍｣。それが多ければ多いほど自分の里の戦力の高さを示せる。少なければ滅ぼされる。戦争1歩手前の状況を、あくまで『試験』と言い張っているだけなのだ。


『この試験は国家間の関係の縮図…そしてこの縮図の中で、木の葉の里は他に比べ頭一つ抜けている里です。資源は豊富、人口も多い、治安も良い！超優良物件てやつです。そして忍も優秀な人揃い！いや〜なんて素晴らしい里でしょう！…そして、なんて狙われやすい里でしょう(・・・・・・・・・・・・・)』

｢！｣

『下手に中止にするなどと他里に呼びかければ弱みを見せつけたも同じ。ここぞとばかりに攻め込んで来るでしょうね、特に砂のような大国に属する里は。』

｢…ええ、アンタの言う通りよ受験生。よく勉強してるじゃない。｣

『あはは…まあそういうことにしといてもらいましょう』


まあ火影さまが言ってるの読んだだけなんだけどな！！！！だって試験が戦争とか思わんじゃん誰も！！！！私らの世界のテストこんなサイコでバイオレンスなのないんで！！！しんどいのは前日にやる一夜漬けの勉強だけだったんで！！！


｢もうひとつ聞いていいかの、A。｣

『？』

｢彼奴の狙いはなんじゃ｣

｢！？火影様それは…うちはサスケだとさっきアンコから報告があったのでは？｣


暗部2人とアンコは驚いたような顔で火影様を見る。


｢ああ、聞いておるよ。じゃが本当にサスケが狙いなら、わざわざ中忍試験を狙う必要は無い。違うか？｣

『まあ…確かに。そうなればサスケを守れるのは上忍師だけですし』

｢ならなぜ、彼奴はこの試験を狙う？｣


本当はこの人、気づいていたのだろうか。元生徒の恐ろしい企みをこの時点で気づき、敢えて身を呈したのだろうか。…やはり何もうかがえないその表情は穏やかな笑顔だった。


『…逆ですよ、火影様』

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