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薬師カブトは焦っていた。
「(殺しなさい。予言など信じるに値しないし、あの子に予知能力が備わっているとも思ってない。…でもねカブト、念には念をと言うでしょう?)」
Aの予想通り、カブトは大蛇丸からAAを消すように指示されていた。本来なら第2の試験までに殺せばよかったのだが、緊張状態の暗部の護衛とやり合えばカブトとて無傷では済まない。だからこの試験はとてつもないチャンスなのだ。確実にここで仕留めなくてはならない。
この試験中に受験生を殺めるためには、試験官が止める間もなく殺さねばならない。物理攻撃による死は食い止められやすい。となると毒などを使うのがいちばん確実になる訳で、そのために自分の持つクナイには皮膚粘膜から体内に侵食する遅効性の毒を仕込んだ。かすっただけで明日の朝にはあの世行き。クナイをひとつでも当てれば、それで自分の任務は終了なのだ。
「(…だというのに!)」
少女がここまで腕の立つ忍だということは、全くの計算外だった。
少女はまず自分の手が届く間合いに入ろうとはしない。あの手この手で誘い込んでも一向に飛び込んでは来ない。クナイを投げたとしても全て弾き返される。唯一手が届くのは彼女が印を結びながら飛び込んでくるところだけ。
だがそのときは自分も印を結ばなくてはならない。彼女が撃とうとしているのは
会場の周りから自分や試験官へ疑問やら非難やらの声が聞こえてくるが、それは余計に自分を苛立たせた。ボクがこの子を甚振っている?冗談じゃない、その逆だ。
「…しつこい!」
同じ攻撃が5度繰り返された頃。彼女が印を結び始める前にこちらも印を結ばずに近づき、その腹に蹴りを入れた。ついでに毒付のクナイもその足に掠らせる。鮮血が飛び散り、無機質なコンクリートを濡らした。
『ク…ッソ!』
それでもなお抵抗を見せた彼女の顎に自分の裏拳を叩き込む。これで彼女はもう立てない。そして彼女の死も確定した。…任務完了だ。
自分が水遁で出した水は会場の床に5センチほど溜まっていた。足にチャクラを練り水面を歩く。
「…最期までボクを苛立たせてくれるね、キミは。最初からそうやって黙って倒れていればいいものをさ」
そう呟きながら彼女の元にもう一歩足を踏み出した、その時。
バシャン。
「……、は?」
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ぱーぷる姫(プロフ) - 6時間ぶっ続けで読み続けました。どうかハッピエンドに! (7月5日 6時) (レス) @page44 id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
夢優(プロフ) - 初コメ失礼致します。陰ながらずっと応援しておりました。同じくカカシ先生が好きな一人です。更新される毎に面白く、次のお話が楽しみでいます。今後の展開楽しみです。Twitterの方にフォロー申請させて頂きました。これからも応援しております。 (2022年8月19日 12時) (レス) id: 8b891f9a28 (このIDを非表示/違反報告)
Luna - 1作品目から秒で読み終わってしまった、、楽しみにしてます! (2022年8月1日 23時) (レス) @page47 id: c3b541dbab (このIDを非表示/違反報告)
巴(プロフ) - 更新嬉しいです!やっぱりこれは神作品 いつまでも応援しています!! (2022年7月6日 0時) (レス) @page44 id: ef698603e3 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - あああああああああああああおわってしまったぁぁぁぁぁぁあ (2022年6月20日 3時) (レス) @page40 id: 9e745c4531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宙 | 作成日時:2022年1月27日 22時