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Letter29 ページ29



休日。デート。

結婚した実感のない私はまだるぅちゃんのことを彼氏だと思っている。


たまたま見つけたイタリアンレストランで時を過ごす。

「あ、A!ピクニックの事だけど…」

『!』

「いつがいいかな?」

ニコッと微笑み、僕は土日がいいかなぁとカレンダーアプリを見ながら楽しそうに話す。


結局まだ言えてなかったなぁ。
彼をがっかりさせたくなくて。


……でも、いつかは言わなきゃいけなくて、ここまでズルズル引きずった私も悪い。


『……その件なんだけど、ごめんるぅちゃん』


ん?と顔を私に向ける。

罪悪感。


『私、春の外出はやっぱりダメみたい。』


彼が一瞬固まったのがわかった。


きっと心の中ではなんで今言うの?とか、病気良くなってたんじゃなかったっけ?とか思ってるんだろうなぁ。


旦那である彼には病気のことも伝えているけれど全部が全部ではない。

だから今の私の病気の状況は正確には知らないはず。


「……そっか!残念だけどピクニックは春じゃなくても出来ますしね!」

うんうんと、自分に納得させるかのように。

『あのね、私が春に外へ出ることは、自ら自分の命を潰す行為と等しいんだって』


自 殺、をかなり遠回しに表現した結果がこれだ。


彼にもダイレクトに伝わり過ぎないようにやわらげたつもり。


「そんなに病気の症状悪化してたんですか…!?」


ごめん!と頭を下げる彼に驚く。

「ごめんね、僕Aの事、病気も含めてなんでも知ってるつもりになってたけど、全然分かってなかったね」


違うよるぅちゃん!私が、私が全部……


「すごい無神経だったね。ごめんね」


違うの、これは、私が悪いの!私だけが……

「僕がAの事守るから、2人で頑張ろ?」




『……2人、で』



るぅちゃんは至って笑顔。

私は彼の優しさに、溺れ死にそうなのに。


『ありがとう…!』


久々に優しい言葉を人からかけてもらった気がする。

人の言葉が暖かいものであることを忘れていた私。

死ぬ前に、私が死を決する前に、

教えてくれてありがとう。

大好きな人。愛してる人。大切な人。



『るぅちゃん愛してる』

「……ええぇ!!?」


るぅちゃんが歳下であるということと幼馴染であるということが重なり、私はころちゃんよりも彼には中々言えなかったから。

『…スキあり!ピザもーらい!』

「あ!」

こんな甘い日々がずっと続けばいいのに。

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作品ジャンル:恋愛
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mei - 何年経ってもこの小説が素敵すぎて読みに来てしまいます。3人それぞれの視点で読み返してみるとより深く考えさせられます。1つのお話として本当に素晴らしい作品だと思います。これを元に書籍化して欲しいくらいです。颯桜さんの書く素敵な物語に出会えて良かったです。 (4月1日 3時) (レス) @page49 id: ece57623d6 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - イチゴジャム・.。*・.。*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・!大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム・.。*・.。*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…! (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん!素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年3月1日 20時

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