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Letter28 ページ28



『……え、うそ』


寒さも前より和らいできた、そんな冬の日。

たった今私は、赤の他人に夢をぶち壊されました。

はい、フラグ回収完了。

『いや、だってこの前まで何も……!』

「俺はもう分かっていると思っていた。当たり前のこととして前提で話していたのだが」

はぁ。とため息をつかれた。

この医師は、私が高校生の時に入院拒否して以来ずっと冷たい。

名誉を得るチャンスを奪われたから?

明らかに私を実験物としてしか見ていないのが分かる。


「だって、君余命どれくらいかわかる?このまま行けばあと2ヶ月なんだよ?」


────────もっと生きたいだろ?


『……!』


「だから俺はお前に生きるという方法を教えているんだ。簡単だろ?桜が完全に散るまで1歩も外に出ないだけだ」


何言ってるの?この人は。


"そうやってお前は何もせずに楽しているだけで余命が伸びるんだ"


哀れな笑みを向けられた。


『…ふざけないでよ!』

気づいたら私は医師の胸ぐらを掴んでいた。
今日は私を抑える両親もいない通院の日。

薄々わかっていたが、あまりにも今まで此奴が春の生活について触れないからもう大丈夫なのかと思ったじゃん!


『人の事そうやってバカにして!』

楽して生きていればいい?



その裏にはお前はいいよな、何もしなくても普通の生活が送れるんだから。

という思いが垣間見える。


『私は当たり前のことが出来ないの!こっちからしたらよっぽどアンタの方が羨ましいよ!』


…医者のくせに患者の気持ち汲み取れないなんて!


「……精神安定剤ちゃんと飲んでる?」


あぁ。完全にこいつは私を人として見てない。



『私は貴方のイライラを受け止める機械じゃないんです。通院しに来ても大したアドバイスも薬もなくただ病人を罵るだけなら私通院辞めます。さようなら』


大人になってまで張り合うのがいけない?
幼い?
私が冷静になれば済むこと?

医者がいつの間に呼んだのか知らないが看護師が荒れ狂う私をまた、腫れ物に触れるように警戒しながら病院の外へ連れ出す。



……1人になった私は覚束無い足で家を目指す。


るぅちゃん、ピクニック、行けないや。

冷静になったあと看護師さんにも釘を押された。

「旦那さんの為にも、生きなさい」

きっと彼はピクニックに行きたがる私を全力で止めるだろう。

その場にへたりこんだ私。


絶望。

その言葉が今の私にはピッタリだ。

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作品ジャンル:恋愛
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mei - 何年経ってもこの小説が素敵すぎて読みに来てしまいます。3人それぞれの視点で読み返してみるとより深く考えさせられます。1つのお話として本当に素晴らしい作品だと思います。これを元に書籍化して欲しいくらいです。颯桜さんの書く素敵な物語に出会えて良かったです。 (4月1日 3時) (レス) @page49 id: ece57623d6 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - イチゴジャム・.。*・.。*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・!大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム・.。*・.。*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…! (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん!素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年3月1日 20時

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