【おそ松さん】些細なことが、大事になりまして。【喧嘩松】

ありがとう。 ページ28

「…もう、大丈夫だ。もう怖くない」


　


　


　


俯いた顔の上から降ってくる優しい声。


　


　


　


“死ね。クズ共が”


　


　


　


あの時感じた、温もり。


　


声はとても冷たくて、静かな怒りが滲み出ていたのに。


　


その腕だけは、とても優しかった。


　


この声と、皆さんの顔を見て。


　


すごく安心した。


　


だから私の涙の理由は、きっと二つ。


　


　


　


『…あり、がとう……助けて、くれて…』


　


　


　


涙が止まらないままだけど、これだけは伝えたくて。


　


こっちを心配そうに見る六人を見上げた。


　


　


　


「…へへ、お安い御用だっつの」


　


「そもそも、このバカ長男のせいだしね」


　


「全くだよ。今後どうする気？」


　


「絶対これっきりじゃないよ？Aちゃんを俺たちの弱みだと思って狙ってくる連中」


　


　


　


……え？


　


　


　


「ほんまですやん！どうするんでっかー？」


　


「決まってるだろう。カラ松ガールを一人には出来ない」


　


「…っつーワケなんだけど、A？」


　


　


　


ああ、まさかの…。


　


そういうワケなんですね。


　


　


　


『…』


　


　


　


俺たちの答えはもう出てるけど？


　


そう言いたげな顔。


　


きっと私に、嫌だと言える権利はない。


　


権利どころか、お願いする立場になってしまうような。


　


　


　


『…じゃあ私は、皆さんの怪我を治す役目ですね』


　


　


　


これが、私なりの気持ち。


　


　


　


「頼むぜ？頼りにしてっから！」


　


「早速だけど、お願いしたいな？」


　


「ああ、体中痛いぜ…」


　


『はい、お任せを』


　


　


　


こうして、私たちの不思議な関係は、成り立った。


　


と、言えたらいい。

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