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ぼーる54 ページ5
今でも言える、あの時の一也は最低だった。
私の一也に対する言動も、反省するところはない。
……だけど、一也にムカついたからと言って、野球部のみんなに迷惑を掛けていい理由にはなり得ない。
「……浅井って」
「え……」
「マジでいい奴だな」
「…………へ、」
私をじーっと見てしみじみとそう呟いた倉持に、思わず間の抜けた声が漏れる。
いや、だって。
まさかいきなりそんな突拍子もないこと言われるなんて思わないじゃないか。
「だっておまえ、ちゃんと頭下げてたじゃねえか」
「……それは、そうだけど…」
「それに、あん時おまえはなーんも悪くなかったろーが」
「……」
「だから、気にすんな」
つーかあんなこと言われたら誰だって腹立つだろ、と眉間にシワを寄せる倉持を見て、心にあったかいものが広がっていく。
もしかして、……いや、もしかしなくても。
それを言うためだけに、わざわざ来てくれたのかな。
『気にすんな』
たった一言、それだけのために。
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作者名:早乙女みんと | 作成日時:2018年4月14日 13時