私の半径５メートル以内に近づかないで下さい。２【ダイヤのＡ】 (ページ11)

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ぼーる６０ページ11

「来てくれないかと思った」

「…………べつに来るつもりなんてなかった」

「ふーん？なのに来たんだ？」

「……あんたがどれだけ下手なのか、見てやろうと思っただけ」

「残念、カッコよすぎてたぶん俺に惚れるよ？A」

「………」

「――惚れるわけ、ないでしょ」

ちゃんと見ててよね、なんて言い残して部員たちの所に戻っていく成宮鳴の背を見つめながら、吐き捨てるように言った。

たとえ結婚することが決まっていたって、私のこの気持ちは、わたしだけのものだ。

――『また沢村からボール飛んできたら絶対ぇ取ってやっからよ！』

「っ……幸せになんか、なれない。思い上がらないでよ…ばか」

放課後のこと。

終礼が終わり、ふとスマホを見れば、ママや執事に並んで、あいつから連絡が来ているのが目に入った。

「…………なんで」

不審に思いつつも開いてみる。

あまりにもあいつらしい命令口調に怒りを通り越して笑うしかなかった。

――今日練習試合するから見に来いよ