私の半径５メートル以内に近づかないで下さい。２【ダイヤのＡ】 (ページ1)

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ぼーる５０ページ1

――大嫌いなあいつの言葉が、もうずっとずっと頭から離れない。

「ばっかみたい……」

『――俺といれば、絶対幸せになれる…って』

そんなことあるわけないって、わかってる。

大嫌いなあいつと結婚して幸せになれるわけないなんてこと、わかりきってる。

……なのに、その言葉が離れない。離れてくれない。

「……い、……浅井！」

「はい？！」

突然大声で名前を呼ばれ、沈んでいた意識が浮上する。

思わずぴんと背筋を伸ばして返事をすれば、呆れた顔を浮かべた友人と目が合った。

「もーどうしたのよ？何回も呼んだのに」

「えっ、ほんと？ごめん全然気づかなかった……」

「ほら、あんたにお客さんだよ」

「おきゃくさん……？」

そう言われて、目線を仲の良い友人である五十嵐沙羅(いがらしさら)から教室のドアへとシフトすれば。

ほんの少しバツの悪そうな顔をした倉持が片手を上げてそこにいた。