◇35 ページ35
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
Ｍ「はい、ただいま」
パタパタとスリッパを鳴らして松本さんが帰還した。
Ｓ「お帰り」
Ｍ「……うん」
その両手には紙袋と。
ヒョウ柄のエコバッグ。
「……ヒョウ柄」
Ｓ「アレ、私物ね」
「……私物」
Ｍ「何か文句あんの？」
とす…と私の足元に置かれたそれらから、勤務先に置いていた私の私物達がチラッと見えて。
荷物を下ろした松本さんは、ふぅ…と息を吐きながら両手をプラプラ左右に振った。
Ｍ「思ったより多かった…」
Ｓ「ソレ、持ってきたの？送ってもらうとかすれば良かったんじゃねえの？」
Ｍ「まぁ…それも考えたんだけどさ、この量なら持ってきた方が手っ取り早いかなって」
Ｏ「へぇ…やっさしー？」
にこにこと２人に笑いかける松本さんからは、怖い雰囲気なんて欠片も無くて。
傍から見ていると、まるで兄に褒められて喜んでる弟…みたいに見えてしまって。
エコバッグやら私物を持ってきてくれた事やらにこにこな彼やら…。
急にたくさん与えられた情報に思わずフリーズしてしまっていて。
「……あ、の」
Ｍ「ん？……あぁ、なに？」
「重いのに持ってきて下さって、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げれば、私の後頭部に突き刺さるような視線を感じて。
……怖くて顔が上げられない。
Ｍ「A」
へ…？と思って、頭を下げた姿勢のまま顔だけを上げたら。
もの凄い眼力で私を見ていた松本さんが、にっか！と笑顔になって。
Ｍ「……って呼んでも良いよね？」
「……え」
Ｍ「まぁ、嫌っつっても呼ぶけど」
「……へ？」
１回聞いた意味…とか考えてたら、松本さんの視線はスッと足元のエコバッグに移って。
Ｍ「持ってきた荷物にさ、お前のじゃないヤツ入ってたら教えて」
「……え、は、はい」
Ｍ「お前のＰＣと一緒に送るから」
「……あ、はい！分かりました！」
Ｍ「……ん」
ふい…と顔を上げた松本さんの視線は私を通り越していて。
視線の先を追ってみたら、おーちゃんと翔さんを見て、いて……。
志乃の髪に触れて指で遊びながらふんわり微笑んでる翔さんと、ふわふわ微笑む志乃の姿は、まるで……。
「……彼氏ですか？」
Ｍ「……やっぱ見える？」
どうしてか、自然と声が小さくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1573人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やっち(プロフ) - 続きが読みたいです (2022年3月30日 6時) (
レス) @page50 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - 卯奈さん» ありがとうございます！…って、わ〜(汗) そうですよねぇ…現状いつになるやらですが頑張りますね！ (2018年4月9日 0時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
卯奈(プロフ) - とっても面白いです！でも次章がなくて一瞬がっかりしちゃいました。更新待ってますねー (2018年4月6日 18時) (レス) id: 2ee62e6d6e (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - のあさん» ありがとうございます！…とはいえ続きの更新がされてなくてガッカリされましたよね(汗) 現在更新中のお話が落ち着き次第カタカタしようと思っておりますゆえ、お待ち頂けるとありがたいです┏〇)) (2018年1月27日 2時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - ドキドキしてとても楽しかったです！次の更新も楽しみにしてます！！！ (2018年1月26日 14時) (レス) id: aa634c2ad5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒衣
| 作成日時：2017年3月1日 0時
