◆3 ページ47
◆SIDE-A◆
そう、オレは。
キミは特別だから、オレと仲良くしてたら先生や父さんやキミのお兄ちゃんに怒られちゃうよ？
そう言うんだ。
そしたら、キミは。
特別扱いなんかされたくない、
そんなモノいらない。
そう言うんだ。
そして。
私、秘密、知ってるもん。
そう言って、泣きそうになるんだ。
なにを知ってるの？
どうして泣きそうなの？
そうオレが聞くと。
聞いたら一緒にいてくれなくなる、って言って大きな瞳から涙を溢してキレイに泣くんだ。
一緒にいたい、一緒に笑っていたい、って言って綺麗な赤い唇を噛むんだ。
オレはそんなキミが心配で、そんな事ないよ、ずっと一緒にいるよ、そう言うんだ。
そしてキミは。
子供でも分かるような、ショックで、酷く残酷な現実をオレに話すんだ。
そして、オレは。
こっそりキミが言ってた事が本当か、話せるようになったみんなに問いかけてみるんだ。
みんなに導かれた場所には、キミが話してくれたコトが真実だって教えてくれるモノしかないんだ。
だから、キミを助けたくて。
キミを連れて、ソコを出ようとした。
それはすぐに大人にバレて、離れ離れにされて、しばらくキミに会う事ができなくなる。
それも全部、知ってる…。
そして、オレ達が暮らす建物が爆発する。
そのどさくさに紛れて、オレはみんなに問いかけながらキミを探すんだ。
その途中で。
オレの父や母と言われてたモノが転がっている。
先生の仕業だって壁に触れた瞬間伝わってきる。
そして、キミが危ないってコトも。
その全部を、思い出してるんじゃない。
オレが知ってる、ってコトも。
全部がオレの記憶なんだってコトも。
オレは知ってる。
そうしてオレは、キミの元に向かうオレを、いつも見守るだけなんだ。
でも、ダメだよ…。
キミの元に向かったら…。
またオレはキミを忘れてしまう。
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