黄瀬涼太は好きな子にアタックできません5

203話　WC (福田総合) ページ7

「福田総合の灰崎って、どんな人？」

わたしの何気ない質問に、練習中の靴紐を締めていた拳がぎゅっとなったのが見えた。

「…俺は、仲良くなれないタイプッス」

恨みの籠った声に、背筋が凍るかと思った

「…俺、あいつのこと話すのそんな好きじゃないんスよ、ごめん」

黄瀬くんのその少し動揺する声にすかさずわたしも、ううん！とあやまった

黄瀬くんが嫌がるほどの人…

一体どんなタイプの選手なんだろう

ワクワクしたと同時に、少し怖くなった。


「あえばわかるっスから」

練習に戻ろうと立ち上がった黄瀬くんの脚を見て、わたしは思わず顔を顰めた

「待って黄瀬くん」

わたしの声に振り向いた黄瀬くん

「さいきん、朝無駄に練習したりしてない？？」

その言葉に目線が外れた

ビンゴか

「ねえ、ダメって言ったよね！何してるの、もう試合まであと少しなんだよ」

勢いで荒くなる声

くっ、、と拳を握りしめて、黄瀬くんも声を荒げた

「でもっ…！！！勝つためには…、」

語尾が少し弱々しくなって、拳を握りしめたまま黄瀬くんは背中を向けて走っていってしまった


大丈夫だろうか、




そして私たちは凍えるほど寒い日に、ウィンターカップ初日を迎えた

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