56話 体育祭前日 ページ7
「体育祭明日だね〜」
「お弁当作るの楽しみ〜」
そんな声が飛び交う2限と3限の間の休み時間。
私は連日の黄瀬くんとの距離感のせいで少し上の空気味だった。
「好きすぎてツラい、って顔してますね」
私の前の席の椅子に逆向きで座ったリナは、私のペンケースをガチャガチャいじりながらため息をついた
上の空だったせいか、少し反応が遅れてしまった私は
「いや、そんなんじゃないから!」と少し声を荒げて
そんな私をリナは鼻で笑い飛ばす
「まー、放課後残って旗やってるなんてうちのクラスくらいだし。たしかに2人きりになるには最高の時間だよねぇ〜。」
「えっ、…なんで知って…!!!」
リナの突然の発言に声を荒げると、彼女は楽しそうに笑っていて
文句を言いたくて息を吸ったと同時にわたしに声が降りかかった
「あのさ、」
わたしが顔を上げると、そこに立っていたのは井上くんだった
「あー、白河さ、明日体育祭終わった後、教室残ってくれない?色々旗やってくれたのみんなからお礼したくて。」
彼は何か照れ臭そうに視線を逸らしながらそう呟くと、小さく唇を噛んだ
私は頭がハテナを浮かべながら「わかった」とつぶやくと、ふと、リナと目があって
要件を終えた様子の彼の背中を2人で見つめる
「なんだろうね」とリナに話す私は、井上くんが仲良くしてるグループの人たちの元へ笑顔で帰り、ガッツポーズをしている井上くんに気がつかなかった
リナは「なんていうか、男ってバカだよね」と大きくため息をつくと、そのまままた机に突っ伏して
この時の私は、何もかもわかった様子のリナが
今何を考えているのか理解することができなかった
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作者名:りん | 作成日時:2020年10月21日 5時