黄瀬涼太は好きな子にアタックできません2 (ページ45)

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95話ページ45

先輩マネージャーさんたちの作ってくれたごはんは本当に美味しくて、思わず笑みが溢れた。

箸を口に運ぶたびにおいしいおいしいと口にしてしまい、マネージャーさんたちに笑われる。

「そんなに美味しそうに食べてもらえて嬉しいな、一軍の皆さんとはこう言う時くらいしかおしゃべりできないし…」

そう寂しそうに彼女は口にした。
普段男しか目に入らない私にとって、マネージャーだけの机でご飯を食べているこの状況はとても変な空間だった。

先輩マネージャーさんが言っていた通り海常高校では軍ごとに体育館が違うので、まず話す機会などない。
また2軍だろうが3軍だろうがマネージャーは関係ないので殺伐とした空気もない。

とても優しくてあったかい人たちだった。

黄瀬くんのファンの方もいるのだろうか、なんて余計なことを考えていたけど
そもそも一年生のマネージャーはいないから先輩マネージャーさん達は黄瀬くん目当てではないという
その事実に少し安心してしまった。

食事を終え、少しの自由時間。

私は明日の選手のための買い出しに行かなければならなくて…

コンビニはすぐそこだからまあいいんだけど、体育館の冷蔵庫へ運ぶ作業をしなければならないし

橋本先輩には明日のメニューを頼んでいるため私は大きな袋を持ってコンビニへ足を運んだ。

～♪

扉が開いて足を踏み入れると、見慣れた背中が2人。

「お」

「お」

「あ」

3人してびっくりしていろんな言葉が出て、少し笑ってしまった。

「何してんスかそんなでっかいカバン持って」

まさかこんなところで会えると思っていなかったから心の準備ができていなかった私は軽く、買い出しのことを伝えた

「お前何往復する気だよ、大丈夫か？」と心配そうに笑う笠松先輩に、いいんですいいんです、と手を振ったけどそんなことも叶わず

手伝うと言って聞かなかった2人に甘えて、大量の飲み物を3人で一袋ずつ持って体育館の冷蔵庫へ向かった

「…あと、2往復、かなぁ」

冷蔵庫にペットボトルを移し替えながら本数を数えてそう呟くと、笠松先輩は黄瀬くんの背中を叩いて

「よーし俺は明日のメニューについて橋本と話さなきゃいけないからお前ら2人でいってこーい」

と、なぜか笑顔で、私たちは送り出されてしまった。