黄瀬涼太は好きな子にアタックできません2 (ページ43)

今日:20 hit、昨日:6 hit、合計:232,781 hit

93話ページ43

笠松先輩の課題点、利き足に頼りすぎていて足ごとにシュートの精度が異なること。
また、ドリブルが苦手なのが顕著に出てしまい、カットが得意な先輩と相性が悪い、

森山先輩の課題点、思い切りが悪く、パスに頼りすぎている。
シュートの成功率を上げて、自分で点を取りに行くべきだと感じた

黄瀬くんの課題点、自分のスタイルがまだ確立しておらず、カットで取られやすい。
シュートを打つ回数は多い故、入っている本数は多いが…成功率を上げればもっと入る。そう確信した。

「ざっとこんな感じですかね…」

夜まで練習が終わった後に、私は一人一人にこれを伝えた

私は人の行動パターンや気持ちを読み取ることが得意だと感じることが多い。
コートの中にいてもいつも、他の選手が見えているつもりだ。
そんな能力をまさかこんなところで使えるなんて。

「おまえ…これ、個人練の時のシュートの成功率や癖まで…」
そう言って驚いてもらえると、こっちも鼻が高い。
えっへん！とドヤ顔を作って誰かにつっこんでもらいたかったのに。

「…すっげ、まじかよ、読まれてる」
みんな大袈裟に感心しちゃって私の事をツッこんでくれるひとはいなかった。

明日また、自分の癖見つめてみるわ、と選手たちも本気でなんだかやる気が出る。

私ができることなら、なんでもやりたい。
そう思った。

時刻は既に18時を回っていて、そろそろ夜ご飯の時間だ。

今日は2軍のマネージャーさん4人でご飯を用意してくれたようで、頭が下がる。

「男子陣…、ご飯食べる前に風呂行くみたいだし、私たちも行っちゃおっか！」
そう私に話しかけてくれた先輩
早川先輩と小堀先輩のデータは橋本先輩に任せっきりだ。
「そうですね！」
私たちもそれなりに疲れているので今日はよく眠れそう…。

『ふう…』

髪の毛をタオルで無理やり上にあげ、少し頭が重いなぁなんて思いながらあつあつの湯船に浸かる

声が響いて、隣まで聞こえてそうで少し小声になる

『どう？合宿』

先輩は湯船に浸かったまま、顔も動かさずに私に問いかけた

『楽しいです…ほんとに。』と微笑む私にそれはよかった、と笑う先輩

『Aちゃんてさ…、黄瀬くん好きなの？』

全く悪気のないストレートな言葉に、吹き出してしまった

赤くなって先輩の方を見たけど、先輩も、何がいけないの？って顔で…ん？って首を傾げてきて…

『…内緒、ですよ？』

私は必死の照れ隠しでそう答えた。